カギは仕事エリアのゾーニング!快適な在宅勤務環境をつくる2ポイント&3テクニック
新型コロナウイルスの影響に伴う生活環境の変化が問題となっています。都心では外出を控えるように要請が出され、在宅勤務に切り替える企業が多くなりました。通常オフィスでお仕事をされている方々が在宅勤務に切り替え、不要不急の外出を避ける生活が新型コロナウイルス感染拡大に対する対策として重視されています。
しかしながら、このような家にこもって仕事と生活を行わなければならないという急激な環境の変化によって、生活に大きく影響が出ているご家庭も多いのではないでしょうか。
就労環境が整っていたオフィスから、整っていない自宅へ職場が切り替わることにより、労働者のストレスが増加し、DV(家庭内暴力)などの問題に発展するケースが散見されます。
もともと政府の推進する働き方改革などの動きから、ワークライフバランスを重視するという名目で在宅勤務を推奨する動きがありました。大きな企業では、試用などを始めたり、在宅勤務に向けた環境をどのように整えるかということについて準備を始めたりしていました。
しかしながら、今回のパンデミックで、十分な準備が整う前に強制的に在宅勤務への切り替えが来てしまいました。私の主人も、半月ほど前から在宅勤務を実施していますが、急激な環境の変化に戸惑っており、思うように仕事が進まないようでイライラした様子が見えます。
本来であればメリットもたくさんある在宅勤務です。本記事では、環境が整う前に在宅勤務になってしまった方向けに、自宅で仕事をする上での環境の整え方をご紹介していきたいと思います。
在宅勤務のメリット、デメリットを理解する
環境を整える前に、在宅勤務のメリットとデメリットを整理してみましょう。
【在宅勤務のメリット】
・通勤時間がかからない。
・時間の融通がききやすい。
・資料作成などの作業に集中できる。
・自分が仕事をやりやすいように環境を変更できる。
【在宅勤務のデメリット】
・そもそも自己管理ができないと仕事が難しい。
・自宅なので仕事に入るときの気持ちの切り替えが難しい。
・環境を作れないと集中が難しい。
・家族が在宅勤務に理解をしてくれないと、仕事に支障が出る。
・仕事仲間とのコミュニケーションが希薄になりがち。
・教えてもらう機会が減る。
・運動不足になりやすい。
在宅勤務を快適に実施していくには、メリットを生かしてデメリットを解消する環境を整えることが必要となります。
自宅の環境づくりについて
普段オフィスでお仕事をされていた方々にとって、自宅はそもそもプライベートのみで構成された空間です。そのため、在宅勤務への切り替えはプライベートな空間に仕事を持ち込むことになり、気持ちが切り替わらない、メリハリが付けられないなどの問題が発生します。また、家族も自宅で一緒に暮らしているので、仕事に対する理解をしてもらわなければなりません。
在宅勤務を行うメリットの一つは、自分が集中しやすい環境を自分で整えられることです。特に、これまでオフィスでお仕事をされていた方は、オフィスの環境に近づけた状態をつくることが集中できるポイントになります。
そのために、2つのポイントをお伝えします。
1.仕事エリア(仕事ゾーン)を確保する。
2.仕事で使うモノの定位置を決める。
1.仕事エリア(仕事ゾーン)を確保する。
整理収納では、スペースを役割に応じて区切ることをゾーニング(Zoning)といいます。
自宅で仕事エリアを確保する上でも、このゾーニングが非常に重要です。仕事エリアの内側と外側を明確に分けることで、メリハリがつけやすくなります。仕事エリア内では仕事を行う、プライベートを持ち込まない。仕事エリアから出たら息抜きをする、仕事から離れるといった具合です。
また、家族に対しても、仕事エリアにいる時は仕事をしている、仕事エリアにいないときは仕事をしていないと、状況を明確に示しやすくなります。
仕事エリアを確保する上では、下記のことに注意してください。
(1)家族の生活の動線を塞がない
(2)仕事エリアとその外を明確に区切る
(3)仕事に必要な机、椅子などを用意する
(1)家族の生活の動線を塞がない
書斎をお持ちの方なら何も問題ありませんが、書斎などなくても在宅勤務はやってきます。いくら仕事のためとはいえ、普段家族がくつろいでいるリビングの真ん中を仕事のエリアにしてしまっては、仕事のメリハリも付けにくく、家族のくつろぐスペースも奪ってしまうことになります。家族の生活の動線を塞がないよう、可能であれば仕事用の部屋を確保し、それができない場合は生活の動線を塞がないスペースを仕事エリアとして確保しましょう。
仕事エリアとして確保したスペースは、家族に対して、そこが仕事用のスペースとなることをきちんと説明しておきましょう。
ちなみに、我が家は、仕事部屋専用の部屋を用意することができませんでした。その場合は、日中あまり部屋にいない娘の部屋の一角をテレワーク用に借りることで解決。事務仕事のようなPCのみの仕事については、リビングのダイニングテーブルを仕事スペースとしています。このように、2つのエリアを目的別にわけることも効果的です。
(2)仕事エリアとその外を明確に区切る
仕事のエリアが決まったら、そのエリアを何かしらで区切ることで、内側と外側を明確に分けることができます。パーテーションや衝立のようなもので仕切ることができれば、視界も区切ることができるので効果的に区切ることができます。
そのようなものを置くことが難しい場合は、仕事のエリアの床に、ビニールテープなどで明確に線を引くということでもいいです。仕事エリアの内側と外側を明確に区切るという心理的な効果があります。小さなお子様がいるご家庭など、ある程度は部屋の中の様子に気を配らなければならない場合は、このように床に印をつけてみてはいかがでしょうか。また、我が家のように家具を上手に使い、仕事空間をつくるなどの工夫も効果的です。
(3)仕事に必要な机、椅子などを用意する
一部、リビングのソファーで仕事をされている方がいらっしゃるようです。リビングのソファーはデスクワークを長時間するように設計されていません。長時間仕事をしていると、姿勢が悪くなったり、背中や腰を痛めたりもします。
机は、比較的安価でコンパクトな机がインターネットで販売されています。ニトリ、島忠ホームズなどさまざまな販売店がインターネット通販でテレワーク向けの家具を販売しています。サイズ感さえ間違わなければ、自宅まで届けてくれるインターネット通販をオススメします。選ぶポイントは、折りたためること。
椅子も机と同じく、インターネット通販で手に入れることができます。高さ調整がついていたり、ひじ置き、キャスターが付いていたりと、高機能なモノでも比較的安価に購入することができます。インターネット通販での購入であれば、高さ調整機能は必須ですね。
仕事エリアの確保は、在宅勤務でとても重要となります。ぜひ妥協せずに、ワークライフバランスを保てるエリア確保を検討してみてください。
2.仕事で使うモノの定位置を決める。
自宅にも、はさみやペンなどの事務用品はあるでしょう。それは通常、家族が共用で使用する位置に置かれているはずです。仕事で使うものは、家族が使うモノとは区別して、収納する定位置をきちんと決めましょう。例えば、はさみが使いたいのに家族が使っていたり、どこに置いたかわからずに探してしまったりすると、それだけで喧嘩のもとになったり、集中が途切れてしまうものです。
我が家では夫婦で在宅勤務をしていますが、主人は100%パソコンでの仕事であるため事務用品はほぼ使いません。一方、私は付箋や印、領収書などの事務用品を多く使います。事務用品の収納にはKEYUCAさんが出しているClotze 収納ケース Sワイドを使用しています。キャスターが取り付けられて移動が簡単であり、重ねるとキャビネットのようになります。
さらに仕切り板がついており中を細かく仕切れるので、事務用品の収納には最適です。このように家庭内で使われている収納グッズが在宅ワークでは大活躍しますので、市販で売っているモノを上手に活用してみてください。
また、市販で売っている収納グッズは、部屋のインテリアを損なうことなく、またダイニングテーブルや机の高さに合わせられることが多いのでリビングで置いていても違和感がありません。
いかがでしたでしょうか。大きな環境の変化は、ストレスを抱える要因になります。ストレスは、時に、家庭内にも大きな問題を引き起こします。自分や家族を守るためにも、在宅勤務を行う環境をいち早く整備し、メリハリのあるワークライフ環境を整備することが重要なのです。
自粛生活が延長になった今こそ、お部屋の環境を整えてみてはいかがでしょうか?
(文=中山真由美/整理収納アドバイザー、RittaStanza CEO)