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ハロウィンでここぞとばかり街中でバカ騒ぎする人たちの「頭の中」…アニメコスプレと違う

文=OFFICE-SANGA
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ハロウィンでここぞとばかり街中でバカ騒ぎする人たちの「頭の中」…アニメコスプレと違うの画像1ハロウィン当日の渋谷の様子

 かつてコスプレは、いわゆる「オタク層」がイベントなどで楽しむ日陰的存在だったが、政府による対外文化宣伝・輸出政策「クールジャパン」や、ハロウィンの定着といった後押しもあって、いまや市民権を得たと言っても過言ではない。

 それでも、一般的に「コスプレ」といえば、まずアニメ好きのコスプレイヤー(レイヤー)の姿を思い浮かべる人も多いだろう。彼女らが身に着けているのは、自ら作成した衣装がほとんどだ。多くの時間と費用をかけてまで、なぜコスプレに興じるのか。コスプレには、どのような魅力があるのか。

 コスプレ歴20年というベテランレイヤーのマコさん(38歳)は、次のように語る。

「当初は、漫画『美少女戦士セーラームーン』に登場する、セーラーマーキュリー(=水野亜美)に憧れていました。彼女と同じ恰好をすることで亜美ちゃんに近づけるような気がしたんです」

 彼女がコスプレに目覚めたのは高校時代のことだという。かつて一世を風靡した『美少女戦士セーラームーン』(武内直子/講談社)。そこに登場するセーラー戦士たちは、今でも根強いファンが多い美少女ヒロインだ。マコさんは、憧れのヒロインと同じコスチュームに身を包むことで、「役になりきっている自分を一層好きになれる」と語る。

 また、コスプレから新しい視点を見いだしたレイヤーもいる。マコさんのレイヤー仲間のエリさん(35歳)も、きっかけは好きなキャラクターのコスプレだった。しかし、コスプレを繰り返すうち、衣装デザインにも興味をもつようになった。

「アニメの登場人物たちの個性的な服を着てみたくなりました。現実世界では、なかなか着る機会がないデザインばかりですが、自作するのは楽しいです。細部にもこだわってつくります」(エリさん)

 憧れのキャラクターになりたい、個性的なファッションを堂々と楽しみたい。目指す方向こそ違っているように見えるが、コスプレには現実社会では実現が難しい願望を叶えてくれる要素があるようだ。

ハロウィンでの仮装、コスプレイヤーとどう違う?

 彼女たちのようなレイヤーと違い、ハロウィンなどのイベント限定で仮装を楽しむ人の場合はどうだろうか。

 昨年、ハロウィンイベントでゴスロリ(ゴシック・アンド・ロリータの略称)の衣装を着たという会社員のリサさん(28歳)は、普段はスーツに身を包み、真面目そうに見える。

「そう思われることが多いからこそ、まったく違う印象のコスプレで非日常感を味わいたいんです」(リサさん)

 画像共有アプリ「インスタグラム」に写真をアップして、衣装やイベントの様子を見せ合うのも楽しみなのだという。ハロウィンという期間に限定はされるが、普段できない非日常的なコスチュームに身を包むことに、何かしらの楽しみを見いだしているようだ。

 では、レイヤーたちと、イベント時だけに仮装する人たちでは、“変身”する際の気持ちに違いはあるのだろうか。

 コスプレ文化などを研究している東京都市大学の岡部大介准教授によれば、「アニメが好きなレイヤーたちは、そのキャラクターに扮することで愛情を表現している」と分析する。

「アニメ好きのレイヤー全般にいえることですが、彼女たちが衣装づくりに情熱を注ぐのは変身願望のためだけではなく、むしろ作品をつくる感覚に近いのかもしれません。また、コスプレをすることで自己表現をしているわけではなく、キャラクターになりきることがメインです。本名ではなく、ハンドルネームなどで呼び合う匿名性が高い関係の中でコスプレを楽しんでいることからも、『自分』という存在をできるだけ消したいという意向がうかがえます。

 一方、ハロウィンで仮装をする人たちは、イベントを楽しむ手段としてコスプレをしているのではないでしょうか。ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)にその姿をアップして、自己をアピールすることも目的のひとつです。こちらは、主にリアルな人間関係の中で進行しており、匿名性はあまり感じられません。

 両者は、何かに扮するという意味で同じ『コスプレ』という言葉が使われますが、自分という存在の表現方法や衣装への思いが異なるように感じます」(岡部准教授)

 漫画やアニメという二次元の世界へ近づきたいという願望から発展を遂げたコスプレ文化。ハロウィンなどでの仮装も、「なりたい自分」をイメージしてから衣装を選ぶと、より深く楽しめるのかもしれない。

 ハロウィンの時期には、アパレルメーカーからも毎年、ユニークな商品が登場する。下着の通信販売を手がけるピーチ・ジョンでは、ランジェリーブランド「YUMMY MART」から着物や動物をモチーフとした下着セットなどを販売している。同ブランドのメインターゲットはSNS世代で、人とは違う自己表現を大切にする女性に向けて発信しているという。

 ディスカウントストア「ドン・キホーテ」渋谷店では、ハロウィンの直前に仮装グッズを幅広く、かつ大量に仕入れてアピールしていた。ハロウィンの定着によってコスプレを楽しめるアイテムも増えている。ほかにも仮装を楽しむイベントが各地で開催されるようになっており、コスプレはますます普及していくだろう。
(文=OFFICE-SANGA)

OFFICE-SANGA/編集プロダクション

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