「キャンドゥ」は、今や生活に不可欠な存在となりつつある100円ショップ業界で、「ダイソー」「セリア」といった大手ブランド四天王の一角として君臨し、老若男女問わないファンを獲得している。企業イメージをそれまでの赤を基調とした庶民的なものから、白とオレンジがベースのモダンなカラーリングに変えた。
だが、おしゃれかつ機能的なアイディア商品を数多く取り揃えているキャンドゥだが、すべての商品がそうとは限らないようだ。なかには「これはどうなんだろう……」と首をかしげざるを得ない商品もある。今回「Business Journal 買うべき・買ってはいけない調査班」はそうした商品を徹底リサーチ。「買ってはいけないキャンドゥの残念商品5選」を選び出した。
ボトルラック/110円(税込、以下同)
自粛生活に伴うリモートワークのシーンでは、デスク脇に用意するタンブラーなどに入れた温かいコーヒーや紅茶が、ひとときの癒しと感じている人も少なくないことだろう。
こうした容器はしっかり洗って乾かさないと、次に使うときに臭いが残ってしまうものだが、キャンドゥの「ボトルラック」は、そうした心配を解消できるという触れ込みの商品だ。しかし、実際は本品を使ったほうがリスクを高める可能性がある……。
本品は洗い終わった容器を立てかけるかたちで干すと、ラックの凹凸に空気が入り込み容器が乾く仕組みなのだが、容器自体に水が流れる穴がないので、水が溜まって汚れてしまいがちなのだ。これならば同じ値段でシンクにかけるタイプの水切りラックを買ったほうが衛生的かもしれない。
コンセント安全カバー/110円
次に紹介するのは、キャンドゥの「コンセント安全カバー」だ。コロナ禍によるリモートワークで、自宅でパソコン作業をする人もいることだろうが、小さいお子さんのいる家庭の場合は、子供の感電のリスクにも気を配らなければならない。本品はそんな場面で活躍するという謳い文句だ。
実際のところ、コンセントに粘着テープ、あるいはネジ留めでしっかり固定し、赤ん坊などでは開けられないような押し込んで開く構造のカバーは優秀で、コンセプト通りの機能は果たしてくれると考えられる。
では何が問題かというと、シンプルにそのデザインだ。本品には正面に可愛らしいウサギの意匠がかたどられているのだが、本来遠ざけておくべき赤ちゃんがデザインゆえに本品に興味をそそられかねない。また、率直に言ってダサいデザインで、インテリア的にもどうしても浮いてしまうケースもあるだろう。よりシックでモダンなデザインの同類商品を買ったほうがベターなのではないだろうか。
マルチダブルクリップ/110円
すっかり涼しくなった秋口。人気を避けるなど感染のリスクに対処しつつ、秋のレジャーで気分転換を試みる人もいることだろう。とりわけ山などのアウトドアはリフレッシュに最適だが、そこで活躍するという触れ込みの本品は、「買って損した……」と嘆く危険性をはらんでいる。
「マルチダブルクリップ」という名のこの商品。可動式の接続部の両端に、押し込むと開くタイプのクリップがついており、一端を自分のズボン、もう一端にタオルなどを取り付ければ、いちいちポケットなどから取り出す手間を省けるというのだ。
しかし、実際手に取ってみると、簡素な樹脂製のクリップ部分や接続部の構造が安っぽく、すぐに壊れそうな心配が募るのである……。とりわけ接続部は熱に弱いTPRという素材なので、バーベキューなどのシチュエーションもあるアウトドアでは不安が残る。デザイン面でもおしゃれとはいいがたいので、金属製のカラビナなどを買うほうが堅実だろう。
なるほどターナー/110円
巣篭もり生活で自炊に目覚めたという人も増えてきた昨今。100円ショップで取り扱っている多種多様な自炊グッズは、料理を楽にしてくれる頼もしい存在だが、キャンドゥの「なるほどターナー」の購入には一考の余地ありだ。
この商品、簡単な自炊の定番メニューのチャーハンなどの調理場面で活躍するそうで、凹部分がたくさんあるディンプル加工が施されたヘラは、炒める際にご飯がつきにくいというのだ。これだけ聞くと良さそうなものだが、本品には明確な欠点がある。
それは、ナイロン製のヘラ部分の耐熱温度が200度なこと。フライパンを強火で1分熱するとその表面温度が200度を超えることを考えると、普通に使っているだけで変形してしまうリスクがあるということだ。ご飯がつかなくても先端が溶けてしまうのでは、買わないほうが良いと言えないだろうか……。
3本入りフリントライター/110円
リモートワークの合間にタバコで一服、なんてスタイルの愛煙家の人もいることだろうが、そんな人は今回最後に紹介するこの「3本入りフリントライター」には要注意だ。
110円で3本も手に入るお得なライターで、実際着火してみたが、使用面であまり不都合は感じなかった。強いていうならスイッチ部分が硬く押しづらい程度。しかし本品の問題点はそこではない。Twitter上で購入者から「3個ともすぐ壊れた」という不評があがったように、本品は長持ちしづらい商品と思われるのだ。
というのも、一般的なライターは可燃性の液体をストロー式の機構で吸い上げるものが多いが、本品は液体が気化したガスに点火する方式。これは着火口からのガス漏れのリスクが高いことを意味しており、密閉度の高いカバンや高温になりがちな車内に置いておくと、思わぬ事故につながる恐れを意味している。滅多なことでそういった事故は起きないとは思うが、他のライターよりリスクがあることは否めないのではないだろうか。
今回選出した商品のように、キャンドゥの商品全てが残念なわけでは決してない。むしろ思わず「買ってよかったな」と唸ってしまう商品のほうがはるかに多い。しかし“安物買いの銭失い”になりかねない商品があるのも事実。「Business Journal 買うべき・買ってはいけない調査班」が調査した今回の結果が、賢い買い物の一助になれば幸いだ。
(文・取材=「買うべき・買ってはいけない調査班」from A4studio)