近年、ブームになった糖質制限ダイエット。しかし、何よりも白いご飯が好きだったり、パン屋さんめぐりが趣味だったりして、失敗してしまった人は多いのでは?
さらに、今年の春・夏はコロナ禍によるリモートワークで体重が増えてしまったと嘆いたばかりなのに、いつの間にか実りの秋に突入。たくさんの旬の食べ物に囲まれてしまい、体重計の記録更新が止まらないと内心焦っているのではないでしょうか?
そんな人に、この秋オススメしたいのが「おにぎりダイエット」です。糖質制限ダイエットを試したことがある人などは「お米=太る食べ物」と思い込んでいるかもしれませんが、実はお米は太りにくい食べ物だといいます。
一般社団法人健康栄養支援センターの管理栄養士・平松聖月さんに、お米が太りにくい理由をうかがいました。
「確かにお米の主な栄養素は糖質ですが、消化・吸収がゆるやかなので、よく噛んで食べることで満腹感が得られやすい食べ物です。さらに、腹持ちもいいので、間食防止につながります」(平松さん)
また、糖質制限で陥りやすいのが便秘の問題です。
「お米に含まれるレジスタントスターチは、食物繊維と似た働きが期待できる栄養素です。不溶性食物繊維の働きのひとつに『便の量を増やす』というものが挙げられます。また、水溶性食物繊維には、大腸の腸内細菌により発酵されて、腸のぜん動運動を促進する短鎖脂肪酸をつくる働きがあるので、お通じがスムーズになります」(同)
よく噛んで食べることで満腹感を得られて、お通じの改善も期待できるなんて、全ダイエッターにとってこれ以上ない朗報です。
次に気になるのが、お米を食べるタイミングです。朝昼晩のうち、朝ご飯にすると結果につながりやすいのだそう。朝食といえば、最近はヘルシーなスムージーやフルーツにヨーグルトといった軽めの食事で済ます人が増えています。ダイエッターの中には「朝はブラックコーヒーだけ」という人も……。
「朝は体や内臓の機能がしっかりと働いていないので、朝食は軽めの方がいいと考えられがちですが、朝食を食べることで自律神経を刺激して、体や内臓や脳が動き出します。そして、『朝にお米』を食べるメリットは、脳や臓器を動かすエネルギー源となる炭水化物が豊富に含まれている点です。お米は腹持ちがよくエネルギーが持続するので、日中の活動がしやすくなり、結果的にダイエットにつながります。そして、1日を元気に過ごせるようになります」(同)
リモートワークが続く現在。自宅だと、どうしてもダラけてしまって、午前中は仕事に身が入らないという人にもうれしいポイントです。
「冷えたご飯のおにぎり」に大きなメリットが!?
今は新米のおいしい時期。お米を食べるなら、お茶碗にふっくら盛られたホカホカご飯がおいしいですが、実は「冷えたご飯のおにぎり」だからこそのメリットもあります。
「腸内環境を整えてくれるレジスタントスターチは、温かいご飯よりも冷えたご飯の方に多く含まれます。『おにぎり』は冷めてもおいしく食べられるので、毎回料理をつくる暇がなくて忙しい、でもおいしく食べてダイエットしたい、という人にはオススメです」(同)
おにぎりなら、わざわざ自分でつくらなくても、コンビニやスーパーで手軽に買えますし、種類が豊富なので、習慣として続けやすいというのも大きなポイントです。お米に玄米や麦を混ぜてもいいですし、具もサケ、こんぶ、おかか、ツナマヨといろいろな種類がつくれるので、その日の気分によって好きな味を選べます。
「おにぎりをよく噛んで食べるだけで、ある程度の満腹感が得られるので、食べ過ぎ防止が期待できます。また、お米には炭水化物以外に、たんぱく質・ビタミン・ミネラルなども入っていて栄養豊富です。とはいえ、お米だけで全部を満たすことはできないので、具だくさんのお味噌汁とおかず1品を加えられると、さらにいいですね。肉や魚、卵料理、野菜などを自由に組み合わせられるので、ノンストレスで食事を楽しめるでしょう。また、一度の食事時間は20分以上かけて、ゆっくり食べることがオススメです」(同)
しっかりと体重減少を狙いたい人は、食後30分、できれば1時間ほど空けてから動くことがオススメです。
「1日数分でも体を動かすことで、基礎代謝アップが期待でき、効率のいいダイエットにつながります」(同)
お米はダイエットの敵ではなく、力強い味方。この意外な事実に驚いた人も多いことでしょう。今年の秋は、気軽に挑戦できる「おにぎりダイエット」で、おいしく元気にダイエットしましょう。
(文=安倍川モチ子/フリーライター)