1週間のなかで土曜日と日曜日が休みという学校や企業は多い。そのため、金曜日は羽目を外して遊んだり、食べたり、飲んだりして夜更かしをし、土曜日と日曜日は朝寝坊をしてゴロゴロと過ごすことが習慣化している人も多いのではないだろうか?
このように「学業・仕事がある日」と「休みの日」で、寝たり起きたりする時間が変化することを「社会的時差ぼけ」(social jet lag)」という。
「時差ぼけ」とは、時差が大きい地域へ飛行機などで移動したときに起こる心身の不調だ。たとえ地域を移動しなくても、寝たり起きたりする時間の差が大きい場合には、体は時差と認識してしまい、時差ぼけが起こるのである。これが「社会的時差ぼけ」だ。
社会的時差ぼけの問題は、頭がボーッとしたり体がだるくなったりすることだけではない。肥満や心臓病、うつなどが引き起こされる危険性がある――。
睡眠パターンが1時間ずれるだけで「心疾患」リスクが上昇
6月3~7日に開催された米国睡眠学会で「週末に夜更かしする人は心疾患を発症する可能性が高まる」という研究結果が、米アリゾナ大学のグループによって発表されている。
アリゾナ大学のグループは、22~60歳の成人約1000人を対象に「平日と休日の睡眠パターン」「睡眠の質」「全般的な健康」などについて質問した。その結果、平日と休日の間で睡眠パターンのずれが1時間生じると、「心疾患」と診断される可能性が11%高まった。
加えて、健康状態が「よくない」または「まあまあ」と回答する人が28%増えている。また社会的時差ぼけがひどくなると、気分の落ち込み、眠気、疲労を感じる可能性が高まった。
収入や教育といった要素も、心身の健康に影響を与える。だが、今回の研究に関しては、これらの要素を考慮しても社会的時差ぼけによる悪影響は認められたという。
研究グループは社会的時差ぼけは慢性化することが少なくない。「どのくらい社会的時差ぼけが続くと健康障害につながるのかは、今後の研究課題だ」と述べている。