割高な経口補水液、熱中症予防には買ってはいけない?主成分は塩?医師の指示必要な病者用
経口補水液は割高な「食塩水」
しかも経口補水液は、「熱中症を防ぐ」という付加価値が付いているため、各製品とも500ミリリットル入りのペットボトル1本の値段が税込み200円前後と、スポーツドリンクやミネラルウォーターに比べてかなり割高なのです。
これについて違和感を持っている人も多いようで、ネット上では「経口補水液は、スポーツドリンクとどう違うの?」といった疑問が多数散見されます。成分を比較すると、スポーツドリンクの場合、塩分(ナトリウム)のほかに、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのミネラル、あるいは、イソロイシン、バリン、ロイシンなどのアミノ酸が含まれています。
一方、経口補水液には、アミノ酸は含まれていません。また製品によっては、カルシウムやマグネシウムも含まれていません。
では、何が含まれているのかというと、主に食塩(塩化ナトリウム)とクエン酸です。食塩が多いため、スポーツドリンクに比べてナトリウムの量は多くなっています。しかし、ナトリウムを摂るのだったら、食塩を摂取するか、食塩を含む食品を食べればいいのです。わざわざ高価な経口補水液を飲む必要はありません。
また、製品によっては、合成甘味料のスクラロースが添加されています。スクラロースは有機塩素化合物の一種であり、動物実験では免疫力を低下させることが示唆されています。また脳に入り込むこともわかっています。こうした化学合成物質は、避けたほうが賢明です。
結局、経口補水液については、巧みなすり替えが行われているのです。まず、感染症などによって脱水状態になった時に飲むべき経口補水液を、熱中症を予防するために飲むものというようにすり替えられています。また、病者が飲むべき製品であるのに、一般の人が飲むもののようにすり替えられているのです。
おそらく「熱中症は怖い」と感じている人のなかには、この巧みなすり替えによって、「熱中症を防ぐために経口補水液を飲んでおこう」と考えて購入している人もいるでしょう。
しかし、熱中症を防ぐためには、「高温の場所に長時間いないようにし、さらに水分や塩分をこまめに摂ること」――、これに尽きます。CMなどに惑わされて、高価な経口補水液を買わされないようにくれぐれもご注意ください。
(文=渡辺雄二/科学ジャーナリスト)