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患者に暴言、病院食が出前のことも……トンデモ産院に勤める助産師のリアルな告白(後編)

文=花田庚彦/ライター
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post_20670.jpg写真はイメージ(© Fotolia 2017)

  

 大阪市内のある産婦人科に勤める助産師からの告発……。

 そこでは、客を欺く院長の姿やブラックな職場環境など、院内の実態が語られていた。前編【嘘をついてまで帝王切開を強要するトンデモ産科医の実態…現役助産師のリアルな告白】に続き、今回も助産師Kが教えてくれた産院の内情について明らかにしようと思う。このS産院は、とにかく院長の患者への暴言がひどいというのだ。

妊婦を“豚”呼ばわりする院長

――どんな暴言を妊婦さんに?

K その院長が妊婦さんに言う一番の暴言は、体重に関すること。確かに、妊娠中に太り過ぎると、難産になりやすかったり、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)になりやすかったりする危険性はあるんだけど、あまりにも患者さんに対する言い方がひどすぎる。

――例えば、どんなふうに言うのか?

K 仮に患者さんの名前が山田さんだとして、彼女の体重が院長の許せる範囲以上に増えていると、「あー、豚田さん。次来る時また太ってたら、よそにほっぽり出すで。米は3口、おかずも3口、味噌汁1杯、あとは草(野菜の事)食っとけ」って。それでも太る患者さんには、本当に紹介状を渡して「あんた、もう好きなとこ行き」とか言いよんねん。

――すべての患者さんにそういう対応を?

K 贔屓する患者さんもおる。院長のような癖の強い人の扱いに慣れているような患者さんや、軽く「先生ごめーーん」みたいに受け流せる患者さんには、「まぁ、しゃあないわなー」みたいな時もある。

――スタッフに対しては? 贔屓のようなものはある?

K ある。院長は些細なことにも首を突っ込んでくるんだけど、注意するのは自分が言いやすそうな人だけ。院長だけじゃなく、その嫁も。そいつがまたひどい。

院内を混乱させる院長夫人

――院長夫人も看護師なの?

K いや、看護師でもないし、そもそも社会に出た経験もないと思う。それなのに、夫が経営している医院に口出ししないと気がすまないらしく、おままごと感覚でスタッフの面接や、給料決定をしたがるから、ほんま迷惑やで。勤務のシフトを作成しようとしたり、患者さんの食事メニューまで決めようとしたりする。

――自身は看護師ではないのに、看護師さんの面接もする?

K 気が向いた時だけね。だから、面接に来た人を1時間以上待たせることもあるし、待たせた挙げ句にやっぱり面倒くさくなって、受付の人に「やっといてー」と電話して、現れない時もある。

――気まぐれで従業員の給料の管理までしていると?

K 給与の明細書すらないねんで。だから、自分の給料が正確に振り込まれているか、わからんままよ。

――従業員からクレームは出ないの?

K 新人のスタッフが明細書を要求したら、なんやかんや理由をつけて本採用前に辞めさせるように持っていきよる。面接の時は、「うちの給料はどこよりも良いと思いますよ。今までのところのお給料はいくらぐらいでした? そこよりも、もっと多い金額をうちは払います」とか言うくせに、実際に働き出したら「あなた、1年間は見習いですよ。見習いなんだから、お金のことは一切言わないでちょうだい」と黙らせる。給料が振り込まれる日もバラバラで、忘れられることもある。

――たまったもんじゃないですね。

K 3カ月間、忘れられてたこともあって。その時はさすがに謝ってたけど、こっちが言わないと気づいてなかったと思う。

患者の夕食に出前を指示

――シフトもその奥さんが管理しているの?

K そう。でも首は突っ込みたいけど、面倒くさいことは嫌だから、まず受付の人にベースを作らせる。自分は決定権だけ握りたいタイプだから、いい加減。そのせいで、月初めはスタッフ全員、次の日の予定しかわからないような状態が何日か、ひどいときは2週間そんな状態が続いて、やっと月の後半にシフトが完成することもある。だから月の前半は予定が立てられない。

――患者さんの食事メニューも決めているというのは本当?

K それもその嫁の気分次第。その日の夕食メニューは、嫁が15時までに厨房スタッフに電話で指示することになっているんだけど、15時になっても電話がこない。患者さんの夕食は17時までに出すことになっているのに、厨房の人は買い出しにも行けないわけ。ようやく直前になって連絡がついたと思ったら「近くの店からの出前で」というときもあった。

――出前? メニューを考えているのでは……?

K 嫁が考える場合もあるけど、3〜4種類を順番に回してるだけ。患者さんの多くは、3〜4日で退院するからそれでもいいのかもしれないけど……。ほかにも、わざわざ厨房の冷蔵庫の中をチェックして、管理に文句をつけたり。厨房スタッフは全員主婦なんだけど、その人たちに向かって「あなたたち、家でもこんなことしてるの?」って。傍から見る限り、問題なく普通に管理しているのに。とにかく、給料に関しても、シフトに関しても、メニューに関しても、何かを見つけては、ただ文句を言いたいだけ。ほんまに迷惑。

――その院長夫人は専業主婦?

K そう。院に首を突っ込みに来る以外、することがないらしい。それでも、クルマはいつも白のBMW、しかも、しょっちゅうぶつけて傷をつくっては、また新しい白のBMWに買い替えとる。服はシャネルのスーツで、高そうなアクセサリーをじゃらじゃらたくさん付けてはるわ。こんなもんやて、小さい医院の中身なんて。

 取材後、S産院のホームページを覗いてみた。すっきりとしたデザインのなか、施設の外観や院内のインテリアが掲載され、綺麗で高級そうな医院、という雰囲気を漂わせている。実際、「儲かっているだろう」とKは言う。しかし、そこで働く従業員は、奴隷のような扱いを受け、給料の明細すらもらえず、働いた分に見合う給料をもらえているかどうかすら、正確にはわからないという。
 
 時に出前となる患者への夕食についても、ホームページ上では“産地にまでこだわり、患者さんの体調管理もしっかり”などと、もっともらしく紹介されている。
 
 それでも患者側は、こうした表面的な情報によってしか、産院を選ぶ方法がないのが現状だろう。
(文=花田庚彦/ライター)

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