何が正しいか、判断は難しい
極論君の意見です。
「僕はお医者さんが大好きで、確かに健診や人間ドックで異常がないと、またちょっと不調を感じて医者に行っても、検査をして特段の異常がなかったり、またちょっとした病気があっても、治療して治ると、その後、無理をしていますね。免罪符をもらったように感じて日頃の体調管理を二の次にしていることは確かです。僕は本を読むのが好きなのですが、非常識君のように医療とは無縁のほうが長生きをするといった論調と、僕のように医療を遠ざけるなどはとんでもないという意見があります。その点いかがですか?」
非常識君の意見です。
「臨床に携わっている先生は『医療を遠ざけるなど馬鹿げている』といった主張が多く、医師でも基礎系の先生は『医療から遠ざかったほうがいい』という論調が多いのではと感じています」
極論君のコメントです。
「臨床にかかわっている先生の主張のほうが、合っているのではないですか?」
非常識君の意見です。
「そうかもしれません。しかし基礎系の先生は医療の資本主義的な悪い部分からは遠い存在であることが多く、一方で臨床に携わっている先生のほうがお金が回るほうの立場であることが多いのです。ですから、むしろ基礎系の先生のほうが忌憚ない意見を堂々と言えるのではと思っているのです」
常識君の意見です。
「人の寿命や健康はたくさんの要素が絡み合っていて、何が正しいかは、なかなか判断できません。最近はビッグデータの解析が可能ですから、長生きした人を解析して、健診や人間ドックの受診歴、そして比較的元気なときにどの程度病院を受診しているのかなどを解析すると、おもしろい結果が出るかもしれません。それまでは、どちらが正しいとも言えないと思います」
医療費への総量規制
非常識君が言います。
「僕はイギリスのデータは結構信じています。イギリスは医療費に総量規制がかけられています。ザックリ言うと、使っていい金額が決まっています。一方で、日本は使用できる医療費に上限はありません。つまり少々良ければ、極論すれば悪くなければ、医療を行ったほうがお金が回り、収益が増えます。総量規制がかけられているイギリスでは、その結果として、必要な医療にのみお金が支給されるようになります。その半面、待ち時間が多かったり、あまりご利益がないと思われる治療は行えません。