分析の結果、クッキーの消費量は、カオス的キッチンを見た場合、自己統制が困難なマインドセットの被験者が最も多く、自己統制が容易なマインドセットの被験者が最も少なかったことが報告されています。消費量が増加したのは高カロリーのクッキーのみでした。標準的キッチンでは、マインドセットによる消費量の違いはありませんでした。
雑然とした環境はストレスになり、そのストレスを解消するために、高カロリー食品の消費量を増加させてしまうのです。ただし、このような環境にあっても、自己統制力の高い人はそうした消費を抑制できるので、自己統制力の弱い方は身の回りを少し片付けてみることが勧められます。
高カロリー食品は小さいサイズで購入、そして小サイズの容器で食べる
パッケージの大きさも高カロリー食品の消費量への影響要因となります【註3】。ワンシンクは、小(114個)、中(228個)、あるいは大サイズ(342個)のチョコレート菓子「M&M」のいずれかを女性の被験者に提示し、他者とテレビで映画を見る状況を想定してもらい、食べると思う量をボウルに入れてもらうという実験を行いました。分析の結果、ボウルに入れた量は小サイズが最も少なくなり、中サイズと大サイズでは差がありませんでした。ワンシンクは、この結果について被験者はサイズが大きくなるほど割安であるという推測をするため、大きいサイズではその分、多く食べてしまうと説明しています。
同様に、容器の大きさも影響要因であることがわかっています【註4】。ウォンシンクらは、男女の栄養専門家を対象として、アイスクリームを好きなだけ食べてもらう実験を行っています。その結果、小さいボウル(17オンス)よりも大きいボウル(34オンス)で食べた人のほうが、消費量は31%も多くなったことを明らかにしています。また、自分が食べたと思う量にボウルの大きさによる違いがなかったことから、大サイズのボウルで食べた人は、自分がより多く食べているという認識がなかったことも報告しています。
この現象は、味の劣る食品でも確認されています。ウォンシンクとキムは、映画館で小さい容器(120g)か大きい容器(240g)のいずれかに入れたポップコーンを男女の被験者に食べてもらう実験を行い、製造から14日過ぎた味の落ちるポップコーンでさえも、「美味しくない」という評価をしながらも、小さい容器よりも大きい容器のほうが消費量は33.6%も多くなったことを報告しています【註5】。
食品を入れる容器の大きさは消費者が消費量を判断する目安になるので、容器が大きければその目安も増えます。高カロリー食品を消費する場合には、容器の大きさにも注意したほうがいいということになります。