多発する「突然死」の人に共通の兆候…「赤ら顔」の人は要注意?
「突然死」は「事故などによる外傷や自殺などではなく、なんらかの病気のために24時間以内に死亡すること」と定義されている。
中高年のみならず、40歳未満の人の突然死も少なくないので要注意だ。年間、9万人くらいの人が突然死しており、交通事故死の約20倍にもなるので、他人ごとで済まされるものではない。
種々のデータから最大公約数的にいうと、突然死のうち心臓性(心筋梗塞など)が3分の2を占め、群を抜いている。次が脳出血や脳梗塞などの脳血管系の病気で10%強。その次が大動脈瘤破裂と続く。つまり、突然死の大半は、心臓・血管系の病気から起こっている。
季節性による要因もある。10月から増え始め、寒い時期の12月と1月がピークになる。曜日は月曜日が最多である。1日のうちでは、午前・午後とも6時から8時が一番多くなる。寒い時期は血圧も上昇し、血液を固まりやすくする血小板の凝固能も亢進して、血栓症(心筋梗塞や脳梗塞)が起きやすくなる。午前6~8時は、やはり血小板の凝固能が高まる。
月曜日は土日でゆっくりとリラックスしていたのに、「仕事をしなければならない」という緊張感(ストレス)により、副腎よりアドレナリンが分泌されて血圧が上昇。血液凝固の亢進が起こり、突然死が増えるのである。よって日頃から、ウォーキングをはじめとする運動、入浴、温泉、サウナなどで体を温める必要がある。運動や入浴はストレスも発散してくれる。
漢方医学的にいうと、突然死する人は「赤ら顔」の人がほとんどだ。「顔が赤い」(ピンク色の顔色の人は、健康の証であるが、少しくすんだ黒っぽい赤さ)、「手のひらが赤い」「歯茎に紫や茶色の色素沈着がある」などの所見を、漢方医学独特の表現で「瘀血」といい、血液循環が悪いことを意味している。「瘀」は「滞る」という意味である。食べすぎや運動不足で、血液中にコレステロール、中性脂肪、糖などの栄養(過剰)物質、尿酸、乳酸、ピルビン酸などの老廃物が多くなると、血液はドロドロに汚れて、血液の流れが悪くなる。つまり「汚血」→「瘀血」になる。
また、過食や運動不足ではなくても、冷え性の人(特に女性)は、血管が縮まり、血流が悪くなる。清流もせき止められると、汚れて澱んでくるように「瘀血」→「汚血」となる。つまり「汚血」=「瘀血」なのである。
「汚血」「瘀血」が体内に生じると血管を拡張して、血液をスムーズに流そうとするメカニズムが働く。よって顔の皮膚の血管の拡張(赤ら顔)や、手のひらの血管の拡張(手掌紅潮=手のひらの赤味)が生じてくるのである。
つまり「赤ら顔」や「手のひらが赤い」人は体内の血液の流れが悪く、脳動脈や冠動脈(心臓の筋肉に栄養を送る血管)で、血栓ができやすく、脳梗塞や脳出血、心筋梗塞などを起こしやすいわけだ。
ただ、人間の体は常に「健康になろう」というメカニズムが働いている。よって「瘀血」=「汚血」に陥ると、汚れた血液を体外へ排泄して、血液を浄化しようとする。それが、皮下出血、鼻血、痔の出血、女性の場合は生理過多として表れてくる。
よって、こうした「出血傾向」があり、「赤ら顔」の人は、心臓・脳・血管系の病気を発症しやすいことを肝に銘じて、日頃から「食べすぎ」を避け、ウォーキングやスポーツに励み、シャワーで済ませずに湯船に入る入浴やサウナ浴を励行する必要がある。
「顔や手のひらの赤味がうすくなってきたら血行が良くなった」と考えられていい。
(文=石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士)