一部の口臭防止用マウススプレー、発がん性の恐れ…過去に国が使用禁止のサッカリンNa含有も
電車に乗った際、隣に座った人の口臭が漂ってきて顔をそむけたくなることがあります。今や口臭は「スメルハラスメント」、すなわち臭いにより周囲を不快にさせることの最大原因ともいえます。
そこで「口臭をできるだけなくそう」と努めている人も多いでしょう。そんな人のなかには、ドラッグストアなどで売られている口臭防止用のマウススプレーを使っている人もいると思います。しかし、安易な使用はやめたほうがよいでしょう。なぜなら、マウススプレーには発がん性が疑われる成分を含む製品が多いからです。
口臭防止用のマウススプレーは数社から販売されていますが、多くは口の中に内容液をスプレーすると、それに含まれる有効成分のl-メントールが口の中を殺菌し、口臭を防ぐという仕組みです。
口臭は口内の細菌が食べかすなどを分解することによって発生します。したがって、それらの細菌を減らすことによって、口臭を抑えられるのです。これらのマウススプレーは、口臭防止の効果が認められるということで、医薬部外品として売られています。
l-メントールは、ハッカ油に含まれる成分で、長く使用されている経緯があり、安全性にそれほど問題はないと考えられます。しかし、マウススプレーの「その他の成分」の中に危険性の高い化学物質が含まれているのです。
それは、サッカリンNa(ナトリウム)です。市販のマウススプレーの多くに、この化学物質が含まれています。
この成分名を「聞いたことがある」という人も少なくないと思います。実はサッカリンNaは、かつて食品添加物としてシロップや漬け物、菓子類などに盛んに使われていた合成甘味料なのです。
私が子供の頃には、人工甘味料としてサッカリンNaの錠剤が売られていて、母親がそれをお湯に溶かして飲ませてくれたことを覚えています。
サッカリンNaは、甘味が砂糖の約500倍もあるため、ごく少量で甘味を付けることができます。そのため、砂糖の代わりに使われていたのです。いわばダイエット甘味料の先駆けといえるでしょう。
二転、三転したサッカリンNaの健康リスク情報
それが1970年代に入って、アメリカから「動物実験の結果、サッカリンNaに発がん性が認められた」という情報がもたらされました。ラットにサッカリンNaを5%含む飼料を2年間与えたところ、子宮や膀胱にがんが発生したというのです。この情報に驚いた厚生省(現厚生労働省)は73年4月、サッカリンNaの使用を禁止する措置を取りました。