西日本を中心に全国で死者が140人以上(10日現在)に上っている記録的大雨。地域によっては堤防の決壊や床上浸水も発生しているが、日本全国で今週注意すべき天気予報情報などについて、気象情報提供会社ウェザーマップの気象予報士、及川藍氏に解説してもらった。
――今回の豪雨による被害が、ここまで拡大した原因はなんでしょうか。
及川氏 活発な梅雨前線が西日本に停滞して、雨量が多くなったためと考えられます。
気圧配置が大きく変わらず、梅雨前線が同じようなところに停滞して、南から非常に暖かく湿った空気が流れ込みました。5日から8日にかけては1時間に80ミリ以上の猛烈な雨の降ったところもあり、活発な雨雲が去年の九州北部豪雨のときに比べて広い範囲にかかり続け、広く大雨となりました。
降り始めから(6月28日~7月8日)の雨の量は、四国では1800ミリ、東海では1200ミリなど、平年の7月の雨量2倍から4倍となる大雨となったところもありました。九州から東海の多くのところで、この期間の24時間~72時間で降った雨の量が観測史上もっとも多くなり、たくさんの雨が短い期間で一気に降りました。
――日本全国で今週、豪雨が予想される地域はありますか。
及川氏 今週は西日本や東日本は夏の高気圧に覆われて晴れる日が続きますが、11日(水)、12日(木)頃は、気温の上がる午後、大気の状態が不安定となるため、にわか雨や雷雨の所がありそうです。短い時間にザッと降る雨に注意が必要です。
また、前線が停滞する北海道や東北北部は、この先は雨の日が多く雷を伴って激しく降る時間がありそうです。今回のように同じところに前線が停滞する可能性は低いですが、土砂災害や低い土地の浸水などに注意が必要です。
台風8号の接近に伴い、沖縄では先島諸島を中心に10日夜から11日明け方にかけて雷を伴って猛烈な雨が降り、大雨となるおそれがあります。
――今回豪雨に見舞われた西日本のエリアで今週、注意すべき気象予報情報はありますか。
及川氏 これまでの大雨で地盤の緩んでいる所があるため、引き続き少しの雨でも土砂災害に警戒してください。発達した積乱雲が近づく兆しがあれば、斜面からは離れ、川は堤防が決壊しているため絶対に近づかないでください。
また、厳しい暑さにも注意が必要です。西日本は晴れて暑さが続き、最高気温は35℃近くまで上がる日もあるでしょう。最低気温も25℃前後と、夜も寝苦しい日が続きそうです。水の確保が難しいかもしれませんが、できるだけ水分をこまめにとって、熱中症に注意してください。
――今年は平年と比較し、豪雨が増加する可能性は大きいのでしょうか。
及川氏 豪雨となる可能性はまだあります。理由は、この夏は猛暑が予想されるからです。暑くなると急な雷雨が起こりやすくなり、短い時間に激しく降る雨に注意が必要となります。また、これから秋にかけては台風が多くなるため、台風による大雨、また秋雨前線による雨にも、これから注意が必要です。
(文=編集部、協力=及川藍/ウェザーマップ所属気象予報士)