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南清貴「すぐにできる、正しい食、間違った食」

ペットボトル茶の健康リスク…カテキンや国内で使用の農薬、欧州では販売禁止の国も

文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事
ペットボトル茶の健康リスク…カテキンや国内で使用の農薬、欧州では販売禁止の国もの画像1「Getty Images」より

岐阜県に住んでいます」と言うと、よく「岐阜ですか。暑くて大変でしょう」と心配してくださる方がいるのですが、岐阜県はけっこう広いんです。気温が高くて有名なのは多治見市ですが、筆者が住んでいる大垣市は60キロ近く離れており、多治見ほど暑くはありません。ただ、大垣の冬は寒いです。滋賀県との県境に位置する伊吹山から吹き降ろす風を「伊吹おろし」と呼びますが、これがとてつもなく冷たい風で、大垣に移り住んだ時はその寒さが身に染みました。今でも、伊吹おろしの冷たさには慣れません。しかし、「住めば都」とはよくいったもので、移り住んでから7年が過ぎ、「すっかり岐阜県人・大垣市民になっとる」という具合に、ときどき大垣弁も出たりします。

 その大垣市から揖斐川沿いに北へ20キロほど行ったところに、春日という地域があります。昔は春日村といったようです。ここは「日本のマチュピチュ」と呼ばれており、航空写真で見たりすると、確かにマチュピチュのようでもあります。その景観の中心にあるのは茶畑です。

ペットボトル茶の健康リスク…カテキンや国内で使用の農薬、欧州では販売禁止の国もの画像2

 急峻な土地には、不揃いな茶畑が、麓からそれほど高くはない山の頂まで、びっしりと並んでいます。その茶畑をよく見ると、ほかの地域にある茶畑と少し様相が違います。私たちが知っている茶畑は、整然と茶の木が並び、一本一本の木が少しこんもりしたような感じですが、春日の茶畑は不揃いで雑然としています。しかし、はっきり勢いがあることがわかります。いってみれば野生に近い印象です。

 それもそのはず、通常のお茶は栽培用に中国から持ち込まれた「やぶきた種」という種類ですが、春日のお茶はもともとこの土地にあった「在来種」と呼ばれる品種なのです。やぶきた種の根は50センチほど地中に張るのに対して、春日のお茶の根は約5メートルも根を張っています。それだけ土中のミネラル分を吸収しているのですが、そのためか、お茶の葉の勢いが歴然と違います。

 当然のことながら、味も違います。実に奥深い、滋味深い味です。洗練された味ではありませんが、明らかにお茶に力があります。よく味わうと、すごくおいしいお茶です。なんと、この春日の茶畑は770年前からずっと続いてきているそうです。その間、一度も農薬を撒いたこともなければ、化学肥料を入れたこともありません。その茶畑を、春日の人たちは守ってきたのです。だから、栽培してはいるけれど、かなり野生に近いのです。

南清貴

南清貴

フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会
代表理事。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。

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