ペットボトル茶の健康リスク…カテキンや国内で使用の農薬、欧州では販売禁止の国も
「岐阜県に住んでいます」と言うと、よく「岐阜ですか。暑くて大変でしょう」と心配してくださる方がいるのですが、岐阜県はけっこう広いんです。気温が高くて有名なのは多治見市ですが、筆者が住んでいる大垣市は60キロ近く離れており、多治見ほど暑くはありません。ただ、大垣の冬は寒いです。滋賀県との県境に位置する伊吹山から吹き降ろす風を「伊吹おろし」と呼びますが、これがとてつもなく冷たい風で、大垣に移り住んだ時はその寒さが身に染みました。今でも、伊吹おろしの冷たさには慣れません。しかし、「住めば都」とはよくいったもので、移り住んでから7年が過ぎ、「すっかり岐阜県人・大垣市民になっとる」という具合に、ときどき大垣弁も出たりします。
その大垣市から揖斐川沿いに北へ20キロほど行ったところに、春日という地域があります。昔は春日村といったようです。ここは「日本のマチュピチュ」と呼ばれており、航空写真で見たりすると、確かにマチュピチュのようでもあります。その景観の中心にあるのは茶畑です。
急峻な土地には、不揃いな茶畑が、麓からそれほど高くはない山の頂まで、びっしりと並んでいます。その茶畑をよく見ると、ほかの地域にある茶畑と少し様相が違います。私たちが知っている茶畑は、整然と茶の木が並び、一本一本の木が少しこんもりしたような感じですが、春日の茶畑は不揃いで雑然としています。しかし、はっきり勢いがあることがわかります。いってみれば野生に近い印象です。
それもそのはず、通常のお茶は栽培用に中国から持ち込まれた「やぶきた種」という種類ですが、春日のお茶はもともとこの土地にあった「在来種」と呼ばれる品種なのです。やぶきた種の根は50センチほど地中に張るのに対して、春日のお茶の根は約5メートルも根を張っています。それだけ土中のミネラル分を吸収しているのですが、そのためか、お茶の葉の勢いが歴然と違います。
当然のことながら、味も違います。実に奥深い、滋味深い味です。洗練された味ではありませんが、明らかにお茶に力があります。よく味わうと、すごくおいしいお茶です。なんと、この春日の茶畑は770年前からずっと続いてきているそうです。その間、一度も農薬を撒いたこともなければ、化学肥料を入れたこともありません。その茶畑を、春日の人たちは守ってきたのです。だから、栽培してはいるけれど、かなり野生に近いのです。