給食で小5女児が死亡した例も
――6年前に、調布市の小学校で給食による5年生女児の死亡事故が起きていますが、今も食物アレルギーの子どもたちは多いのでしょうか。
細川 調布市の事故は悲劇でした。給食で粉チーズ入りのチヂミが出て、女児には粉チーズ抜きのチジミが配食されたのですが、余っていたのでお代わりした際に粉チーズ入りのものを食べてしまったのです。
ロンドンの中学校でも、今年7月に乳製品アレルギーの13歳の少年が死亡するケースがありました。Tシャツのなかにチーズを無理矢理入れられ、アナフィラキシーショックを起こしてしまったのです。入れた少年は殺人未遂で逮捕されました。すごくショックでしたね。
今も食物アレルギーの子どもはすごく多くて、増えていると思います。一方で、学校でアレルギー対応の給食ができたり、災害時の緊急避難食にもアレルギー対応のものができたりするなど、徐々に認知されつつあるとも思います。
――なぜ「アレルギーナビゲーター」になろうと思ったのですか。
細川 私自身、食物アレルギーであることがコンプレックスで、すごく仲のいい友達にしか言っていませんでした。でも、東日本大震災のときに「救援物資が届いても、食物アレルギーがあって食べられない人もいる」という状況をニュースで知って、ハッとしました。
大学生のときからSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)をやっていましたが、食物アレルギーだということは隠していました。でも、それは良くないなと思って。微力かもしれないですが、自分が発信することによって、ほかのアレルギーの人も言いやすくなったり、その声がアレルギーじゃない人たちにも届いたりして、せめて災害時に救援物資を食べられないような状況はなくなればいいなと思い、3年前からアレルギーナビゲーターとして活動しています。当事者で活動をしている人は、私のほかにはいないと思います。
――具体的には、どんな活動をされているんですか。
細川 アレルギーのお子さんを持つ親御さんたちを中心に、イベントや座談会を50回以上は開いています。最近は、アレルギーを持つ大人、高校生や大学生の参加者も増えてきています。
チョコを食べたことのない人は意外に多い
――食物アレルギーでチョコを食べられない人もいるのですか。
細川 チョコには乳製品が使われていることが多くて、乳化剤として大豆が使われていることも多いんです。また、ナッツを使ったりナッツにチョコをかけたりしているケースもあるので、同じ製造ラインでつくられていると、アレルゲン(アレルギーの原因物質)がコンタミネーション(混入)してしまう可能性が出てきます。微量でもアレルギー症状が出てしまう人が多いので、「チョコを食べたことがない」という人はかなり多いですし、私もそうでした。