テレビを見ていて、芸能人の名前が出てこない。立ち上がって台所にきたものの、何をしようとしていたのか忘れてしまった。昨日食べた夕飯が思い出せない。
年を重ねると、脳の衰えを生活の中で感じる場面も増えてくる。人生100年時代を迎え、定年後の生活も長い。体だけでなく、脳も元気な状態で人生を楽しみたいと思っている人は少なくないだろう。
『脳が若返る15の習慣』(飛松省三著、フォレスト出版刊)はそんな人のために、習慣を変えて、脳の老化を抑え、活性化させる方法を解説。脳波研究の第一人者である著者が実践している科学的根拠に基づいた脳のスマートエイジング術を紹介している。
日常生活の中でちょっとした工夫をすれば、脳は活性化するという。では、脳が若返る習慣とは、どんなことをすればいいのか。本書からいくつか挙げていきたい。
スマホを「非利き手」でいじる
あまり考えずに操作しているスマホ。しかし、それを利き手とは逆の手で操作してみる。本書によれば、「利き手よりも自動的な運動が少なく、より運動皮質を興奮させ、運動関連領域を活性化させる」という研究結果が出ているそうで、非利き手を使うと、脳の血流量も増えるという。
普段あまり使っていない場所を使うことで、脳は活性化する。普段スマホの文字入力をしている手とは逆の手で文字入力をする。これだけでも、自分の意志によって行われる運動である「随意運動」に関係する回路が使われるため、脳の活性化につながるというのだ。
楽器を弾いて手先を使う
年を取ってから楽器をはじめても、覚えるのが遅いと思う人もいるだろう。確かに、脳は練習や学習に伴って構造と機能が変化する「可塑性」を持つが、これは14歳以後に練習や学習を始めた場合、わずかにしか変化しないという研究がある。
しかし、楽器を始めること自体は大人になってからでも遅いとは限らなそうだ。楽器の上達のために反復練習することは脳が刺激されている状態だが、これが繰り返されることで脳の機能が変化するという。このことを「使用依存的可塑性」と呼び、リハビリテーション医学の分野で注目されている。
楽器を繰り返し演奏することによって、運動にかかわる神経ネットワークが効率化され、増強されるとともに、その変化が持続されるという。もちろん手先を使うことなら楽器でなくても構わない。手先を繰り返し使うことで、脳は活性化されるということだ。
脳を若返らせる日常習慣術を15項目にまとめて紹介している本書。スマホを使う利き手をかえるなど、普段の習慣をちょっと変えるだけで実践できるものばかりなので、脳の活性化のためにも試してみてはどうだろう。(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。