ゼロカロリーの清涼飲料水やスポーツドリンクは言うに及ばず、「ゼロカロリーきなこもち」に「ゼロカロリーあんみつ」「ゼロカロリーゼリー」などと、スーパーやコンビニを一回りしただけで、ゼロカロリー商品の多さに驚く。しかし、「ゼロカロリーだから大丈夫、太らない」と思っているなら、それはもはや非常識になりつつある。
そもそも、カロリーゼロという表示は、含有カロリーがゼロということを意味しているわけではない。栄養表示基準では、食品で100グラム当たり5kcalまで、飲料では100ml当たり5kcalの範囲なら、「ゼロ」「フリー」「レス」「無」「ノン」などのまったくカロリーが含まれていないような表現が許されている。つまり、ゼロカロリーの清涼飲料水500mlには24kcal程度のカロリーが含まれている可能性さえある。カロリーが皆無だと思って、これらの飲料のカブ飲みしてしまうと、知らぬうちに相当なカロリーを摂取してしまうわけだ。
しかし、ゼロカロリー食品の問題の深刻さは、むしろそこに含まれている低カロリーの人工甘味料が体に与える影響のすごさだ。日本で使われている人工甘味料は「アスパルテーム」「アセスルファムカリウム」「スクラロース」「ネオテーム」などがあるが、いずれも比較的新しく商品化されたものだ。かつて日本で大量に使われていた「サッカリン」は発がん性の有無をめぐり紆余曲折の末に制限付きで使用が認可されたほか、「ズルチン」は中毒性、発がん性、肝機能への障害などを理由に、「チクロ」も発がん性、催奇形性を理由に使用は禁止されている。
現在使われている人工甘味料は使用が認められてからの期間が短く、その影響がすべて解明されているわけではないが、すでに注目すべき研究レポートが多く出されている。
コカイン以上の依存性もある人工甘味料
まずは「人工甘味料は太る」という衝撃の事実。テキサス大学の研究では、人工甘味料を使ったダイエット・ソーダを飲んだグループと飲まなかったグループを追跡比較すると、飲む人は、飲まない人に比べて5〜6倍太るということがわかった。さらに飲んだグループでは、36%のメタボリック症候群のリスクと67%のⅡ型糖尿病のリスクがあることも判明。これは人工甘味料が肥満や糖尿病と深くかかわるインスリンやインスリンを分泌させるインクレチンなどに影響するためで、インスリンが分泌されすぎると、余分な糖分を脂肪細胞に溜め込むので太ってしまう。この働きから、インスリンは「肥満ホルモン」はとも呼ばれるのだ。
また、パデュー大学のマウスの実験では、人工甘味料入りのヨーグルトを摂取したグループは天然甘味料入りヨーグルト摂取のグループに比べ、食べすぎによって太ってしまったと報告している。さらに、すさまじい甘さを持つ人工甘味料には依存性があるも指摘されている。人工甘味料は脳の快楽中枢に作用して摂取すればするほど、また欲しくなるという中毒症状を引き起こす。『カロリーゼロにだまされるな――本当は怖い人工甘味料の裏側』(ダイヤモンド社)の著者・大西睦子医師は、「甘み依存症」という症状は、コカイン以上の依存性があるとも指摘している。
これだけではない。腎臓への悪影響も指摘されている。ハーバード大学時からの報告では、人工甘味料入りのソーダを1日2缶以上飲んでいた人は、飲んでいない人に比べて腎機能が30%も低下していた。この研究は11年間、3000以上の助成を追跡している大規模なものだ。
驚異的な甘さを提供する新種の人工甘味料とそれを使用した多種多様なカロリーゼロ商品。「カロリーゼロ」「太らない」などという安心を謳った宣伝文句の裏に潜む危険性も知らなければならない。
(文=チーム・ヘルスプレス)