Webメディアの運営・開発を研究するサイラボからの出張エントリー!
あのメディアのほんとのとこが知りたい! サイゾーのプロデューサー・川原崎が、気になるWebメディアの運営者に会いに行き、メディア運営のノウハウや悩みを聞き出します。
今回は、シュールな笑いで注目を集めるネタ系メディアの老舗「オモコロ」の運営元・株式会社バーグハンバーグバーグを訪問。同サイトの運営・マネタイズから、他のネタ系メディアに対する考えまで、代表のシモダテツヤ氏と現編集長の原宿氏に赤裸々に語っていただきました。
“編集”をするようになってアクセスが倍増
川原崎(以下「川」) まずはオモコロの近況について教えてください。
シモダ(以下「シ」) オモコロは今年で7年目を迎えました。一日一本更新する特集記事をメインに、四コマ漫画と連載記事で成り立っています。
原宿(以下「原」) 実は今日、サーバーが落ちちゃったんですよ。特集記事へのアクセスが凄すぎて( 当日は「【カップル閲覧禁止】独身OLのすべて」という記事が掲載され、1万RTを越えていた)。ツイッターのバズから、さらに過去記事が掘り起こされたりして、最近アクセスが倍増しているんです。そろそろサーバを増設しなきゃなーと話し合っているところです。
川 すごいですね。アクセス倍増の原因って何でしょう?
原 枯れ草に産み付けられたカマキリの卵から孵る、カマキリの子どもたち一匹一匹を「オモコロの1アクセス」として数え始めたからかもしれません。
川 そうなんですか?
シ それもそうなんですが、「編集部としての機能」が活発になったのが原因かもしれません。これまではライターが書いた記事をそのまま掲載することが多かったのですが、今年から原宿が編集長になって一つ一つの記事に企画アイディアを出したり、タイトルをもっとフックのあるものに変更したり、文章の表現を調整したりするようになりました。それがPVの底上げにつながっているのかなと思います。
川 つまり、”編集”をするようになったと。これまでやっていなかったというのが驚きですが。
原 これまでは “編集をしない編集部”を売りに超適当な運営をしていたのですが、2年前に法人化してからはそれではダメだと思うようになり、「ちゃんとPVを上げよう」ということになったんです。そのために、どうすればFacebookやTwitterでウケるのかを考えるようになりました。たとえば、Twitterなら「つぶやきだけで個人を特定できるのか?」とか、Facebookなら「いいね!乞食」についてのネタとか、そのSNS自体を話題にするとバズりやすいんですよね。
ネタの方向性も変化
川 なるほど。オモコロの昔のネタを見ていると、今と比べてかなりシュールで理解しづらいものが多かった印象ですが、最近は”わかりやすい”ネタが増えた気がしますよね。
シ ネタの選定については、編集長である原宿がおもしろいと思うかどうかを基準にしていますが、方向性についてはたしかにこの7年間で変化してきていますね。昔の方がニッチというか、サブカル寄りのものが多かったです。実験的な要素もあって、面白くないものや、意味がわからないものもいっぱいありました。週末をつぶしてカニの手とずっとジャンケンしたりとか……。
原 今は、新人のライターには最初のうち僕が担当編集としてついて、読みやすさとか構成について助言するようにしています。本来ライターさんが持っている魅力に、オモコロの読者層に喜ばれるような要素も足して、読みやすい形に仕上げている感じですね。もちろん、一切バズる要素のない実験的な記事も時々上げてみたりするんですが。
シ でも、ライターから学ぶことって今でもすごく多いですね。ちょっと前に、「海老蔵が灰皿で酒を飲ませた」というニュースが話題になった時、セブ山というスタッフが実際に灰皿でウォッカを飲むという、小学生でも思いつくようなことをやってみせたんです。そしたら、予想外に当たったんですよね。だから、自分たちの考えだけでボツを決めてしまうのは危険だな、ということは常に考えています。