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異色のネット動画が大人気!ギャル2人がエロ質問に回答&大はしゃぎ

文=萩原裕太
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異色のネット動画が大人気!ギャル2人がエロ質問に回答&大はしゃぎの画像1「東京バズカマー ~大目にみてやってください~」(無料動画サイト「YouTube」より)
“みぽち”と“なさ”という2人の悪羅ギャル(オラギャル)が、Q&Aサイト「Yahoo!知恵袋」に掲載されている、ちょっとエッチな質問をネタに、盛り上がりを見せている。

 これは実は、YouTubeチャンネル「東京バズカマー ~大目にみてやってください~」のコーナーのひとつ「オラギャル知恵袋」の一幕だ。このほかにも、渋谷No.1パーティーロッカーを名乗る“あっくん”をはじめとしたギャルやギャル男が、エロやネタ感満載の企画を繰り広げている。

 10秒動画コミュニティ「MixChannel(ミックスチャンネル)」は、アプリが300万ダウンロードを達成し、月間動画再生数は5億4000万を記録するなど、インターネットの世界には独特の映像文化がつくられている。

 カップルでキスをするもの、ダンスを踊っているもの、お笑い芸人のネタをコピーして演じるもの……中高生たちにはそんな動画がウケているようだが、筆者をはじめ30代以上のおじさんは「その面白みが、いまいちわからない」というのが本音だろう。

 しかし、そんなちょっといびつにさえ見える、若年層のネット動画に対する嗜好をつかみ、冒頭のような内容を展開しているのが「東京バズカマー」である。同チャンネルのディレクターを務める渡辺資氏は、以下のように語る。

「かつては、素人でもテレビのバラエティ番組への出演から、俳優やタレントになる人が数多くいました。しかし、今は規制が厳しく、本当に面白い若者たちを出演させることが難しい状況です。そして、それならネットでやってしまえばいい、というのが『東京バズカマー』の考え方です。あっくんのような面白い若者は『東京バズカマー』の舞台である渋谷にもたくさんいるし、地方にも数多くいます。面白い素人を取り上げて育てていく方法は、テレビでも1971年から始まった『スター誕生!』(日本テレビ系)の時代からありました。『東京バズカマー』も、いずれは若者たちが『あそこに出れば、自分もスターになれるかもしれない』という期待を持てる番組にしたいと考えています」

テレビからネット動画にシフトする若者たち

 渡辺氏は、フリーランスのテレビディレクターとして、さまざまなテレビ番組を手がけている。そんな彼が、テレビとは違う舞台としてネット動画を選択し、「素人いじり」という確立された手法で参入してきた。しかし、売れっ子ディレクターである渡辺氏が、わざわざネット動画に場を移さなければならないほど、テレビは自由が効かなくなっているのだろうか。

「僕らが若い頃は、『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』(日本テレビ系)をはじめ、無茶をするような番組が多くありましたが、今は皆無です。若者たちを刺激するような番組は、なかなかありません。また、若者の中には、テレビを持っていないという人も多いようです」(渡辺氏)

 NHK放送文化研究所の調査によれば、テレビを「ほとんど、あるいはまったく見ない」20代は16%に上っており、若者のテレビ離れは加速する一方だ。しかし、彼らを惹きつけようと無茶をすれば、批判が集中する“炎上”案件になってしまう。

 そんな、身動きの取れないテレビを見捨てるように、若者たちは「MixChannel」や、HIKAKINをはじめとするYouTuberのチャンネルにシフトしている。しかし、ネット動画の人気作品に対して、渡辺氏はプロの視点から「物足りなさ」を語る。

「『MixChannel』の人気者も、お笑い芸人のネタをコピーするだけのような内容で、“隣のクラスの目立つ人”レベルの内容です。YouTuberの動画はそれなりに面白いですが、結局、“自分1人で撮影している”というレベルのクオリティです。彼らは、もっとポテンシャルがあるはずですが、自分で撮影するスタイルがウケたため、それ以上のことをする必要がなくなってしまったのだと思います。企画や映像などについて、ほかの人が支えてあげれば、もっと面白い展開があったはずなのですが、結果的に失速気味です。しかし、それは彼らだけが悪いのではなく、テレビのつくり手側が追いついていなかったのです。彼らのようにネットで注目を集めている人たちを、テレビバラエティの制作手法を用いながら、広めていけないかと考えています」(同)

 同じメディアとはいえ、ネットとテレビでは動画のつくり方なども異なる。単純に、テレビの手法を用いるだけでは、若者たちが振り向いてくれるわけではないようだ。

「今、『東京バズカマー』は、あえて安っぽいつくりにしています。今の若い人は、ネット動画の安っぽさに慣れているため、テレビ的にしっかりと企画を練って映像にこだわったものは、ウケないのです。そのあたりの感覚は、僕らの世代とは完全にずれています。ただ、正解は全然わかりません。だからこそ、少しずつ変えていったりする必要があり、やりがいがあります」(同)

ネット動画界に生まれる新潮流

 テレビへの出演機会がないオラギャルたちを演出するために、「東京バズカマー」では8月末から、お笑いタレント・大久保佳代子(オアシズ)をキャスティングし、若者たちと共演する番組を制作する。女性の本音をズケズケと晒す大久保と、渋谷のオラギャルたちのトークは、いったいどんな展開になるのだろうか。まったく先が見えないが、渡辺氏は以下のような期待を寄せる。

「大久保さんという、ある意味テレビ的なフィルターを通すことで、より若者たちの魅力が伝わるのではないでしょうか。大人には、なかなか魅力が理解できないようですが、オラオラ系のギャルたちも捨てたものではないです。現在は政治家になっている山本太郎参議院議員にしても、世に出たのは『元気が出るテレビ』の人気コーナー『ダンス甲子園』でした」

 ネット動画は、衰退するテレビに背を向けた若者たちの「リアル」を映し出す媒体となるのだろうか。「東京バズカマー」のように、プロとして活躍している人材が本格参入を果たすことによって、「MixChannel」やYouTuberが覇権を握るネット動画の世界に、新たな潮流が生まれつつある。
(文=萩原裕太)

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