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高橋暁子「ITなんかに負けない」

「インスタいじめ」多発の実態…「いいね」欲しさで過激化、抑制施策でユーザの快楽問題も

文=高橋暁子/ITジャーナリスト
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 ほかにもInstagramでは、いじめの加害者に知られることなく、相手のアカウントのコメントを「投稿者のみに表示」にしたり、相手に対して自分がInstagram上でオンラインであることや、DMを既読したことが表示されなくなる機能も発表している。子どもたちは状況が悪化することを恐れ、加害者をブロックやフォロー解除、報告(通報)したがらないため、このような心を守る機能が生まれたというわけだ。

「いいね」数非表示で競い合いを減らせるか

 Instagramは、若者の精神上、もっとも良くない影響を与えるSNSといわれている。もともとInstagramは、いわゆる「インスタ映え」する写真を投稿する場だ。それゆえ、他人と自分を比較して落ち込んだり、「いいね」数を競い合って依存状態となったり、過激な行動に出たりしがちなことはよく知られている。

 ある女子高校生は、「いいね」がほしいあまりに自撮りの場所がどんどん過激となっていったという。ある時、背景が空のベランダから乗り出した写真を撮ろうとして、危うく落ちかけたそうだ。「ただ自撮りしても『いいね』はそれほど増えない。でも、驚きがある場所で撮れば増えた」という。

 そこで同社は7月から、日本を含む一部の国で投稿の「いいね」数と動画の再生数を非表示にするテストを実施することを発表している。非表示になることで、呪縛が緩和される可能性はあるだろう。

 しかし、「いいね」されると脳内にドーパミンが出て快楽を感じることは指摘されており、それゆえ多くの人は依存状態となっているわけだ。こちらの快楽は減らせるわけではないので、全体としてはどうなるのか、テスト結果の発表を楽しみに待ちたい。

 もともとはきれいな写真を公開したり、閲覧したり、情報を収集して楽しむための場だが、Instagramでも、以上のようにたくさんのトラブルが起きている。周囲の大人は、子どもたちがトラブルを避けながらうまく使いこなせるよう、見守っていってほしい。

(文=高橋暁子/ITジャーナリスト)

高橋暁子/ITジャーナリスト・成蹊大学客員教授

高橋暁子/ITジャーナリスト・成蹊大学客員教授

書籍、雑誌、Webメディアなどの記 事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナーなどを手がける。 SNSなどのウェブサービスや、情報リテラシー教育などが専門。元小学校教員。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎) など著作多数。NHK『あさイチ』『クローズアップ現代+』などメディア出演多数。令和 三年度教育出版中学国語教科書にコラム掲載中。


高橋暁子公式サイト

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