80年代のパソコンを牽引したNEC、シャープ、富士通による「8ビット御三家」、覚えてる?
あなたにとって「懐かしい」とは、どんな情景でしょうか? 1970~90年代の「懐かしい」を集めたのが「ミドルエッジ」。あなたの記憶をくすぐる「懐かしい」から厳選した記事をお届けします。
今回のテーマは、「8ビット御三家」。パソコン黎明期をけん引したNEC、シャープ、富士通が発売した機種と、そのブームの終焉について紹介していきます。
「ワンボードマイコン」から「オールインワン・コンピューター」へ
今や子どもからお年寄りまで誰もが手軽に取り扱えるパソコン。しかし、その黎明期においては、機械マニアに向けたニッチな商品でした。
まずは70年代中頃、「ワンボードマイコン」がメカニックオタクの間でちょっとしたブームに。その名の通り、ネイキッドな1枚の(ワン)の基板(ボード)に、最低限の電子部品と入出力装置を組み込んだこの製品。便利な情報処理ツールというよりは、電子工作としての意味合いが強く、実用性に乏しいものでした。
そこからキーボード・ディスプレイ・記憶装置が一体となったオールインワン・コンピューターの時代へ。これが現在のパソコンのプロトタイプといえるでしょう。ちなみに、この時期のパソコンは、8ビットCPU(MPU)を搭載しているため「8ビットパソコン」とも呼ばれています。
アップルも8ビットパソコン時代に台頭
オールインワン・コンピューターもとい8ビットパソコンは、77年よりさまざまなメーカーから発売されました。精工舎(現:セイコー)からは「SEIKO5700」、米コモドール社からは「PET2001」といった製品が次々と登場。なかでも米アップル社から売り出された「Apple II」は世界的ヒット商品となり、現在に続くアップルブランドの礎を築きました。
このような8ビットパソコンの開発競争の最中に台頭した企業が、NEC、シャープ、富士通です。口火を切ったのは、78年に「MZ-80K」を発売したシャープ。79年にはNECが、当時パソコン雑誌「ASCII」から「最強のマシン」と評された「PC-8001」をリリースします。さらに富士通が1981年に「FM-8」を発売し、三つ巴の状態が完成します。当時、パソコン少年だった方の多くは、この3社の製品に憧れを抱いたのではないでしょうか。
あっけなく終わりを迎えた8ビットパソコン時代
隆盛を誇った8ビットパソコンですが、その栄華はあっけなく終わりを迎えます。その理由のひとつは、16ビットパソコンの登場です。81年に16ビットの「IBM PC」が登場すると、瞬く間に世界を席巻。同年には、三菱電機が国産初の16ビットパソコン「Multi16」を発売し、翌82年には、NECからロングセラー商品となるPC-9800シリーズが販売されます。高価格ながらもハイスペックな16ビットパソコンは、ビジネスユースとして主に企業から歓迎されました。
2つ目の理由は、83年の「ファミリーコンピュータ」(任天堂)の出現です。当時の家庭用パソコンはゲーム目的で購入されることが大半だったため、あっという間にユーザーの目はそちらに釘付けに。ゲーム機としての8ビットパソコンは隅に追いやられてしまったのでした。
8ビットパソコンブームから40年。その流行の牽引役となったNECは、「PC-8001」の発売40周年を記念して、8月にモバイルノート「LAVIE Pro Mobile PM750/NAA」を発売。「PC-8001」のイメージが継承された特別カラーモデルに注目が集まりました。さらに40周年記念の限定プレゼントとしてハル研究所が開発した「PC-8001」のミニチュア版「PasocomMini PC-8001」も同梱されています。「平安京エイリアン」や「モールアタック」といった、かつてのレトロゲームが遊べるとのことなので、8ビット時代のユーザーは思い出に浸れること間違いありません。
この連載では、次回以降も皆さまの脳裏に「懐かしい」が蘇りそうな記事を提供して参ります。「こんな記事は?」「あのネタは?」なんてお声も、お待ちしておりますので、よろしくお願いいたします。
(文・構成=ミドルエッジ)
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