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画期的に使いやすいChrome OS、急速に拡大…Windowsのデメリット解消

文・取材=後藤拓也/A4studio
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Google Chromebooks HP」より

 コンピューターの動作を司るOS(オペレーティング・システム)。OSといえばWindowsやMac OSがお馴染みだが、近年、Googleが開発したChrome OSが注目を集めている。ASUSやデルなどといった名のあるメーカーも、このOSを搭載したデスクトップパソコン・Chromeboxや、ノートパソコン・Chromebookの販売に乗り出しており、OSの世界市場において4位にランクインするなど、徐々にシェアを拡大しているという。

 また、自動的に更新プログラムをアップグレードしてくれるという安全性の高さや、比較的安価に端末が販売されているという状況から、いくつかの有名企業もChrome OSを業務に使用し始めている。

 とはいえ、85%超のシェアを誇っている1位のWindowsに対して、Chrome OSのシェアは約0.3%と、その存在感はまだ小さい。

 ではこの先、Chrome OSは普及してWindowsの牙城を揺るがす存在となり得るのだろうか。実際にChrome OSを利用しているというジャーナリスト・佐藤信彦氏に話を聞いた。

ウェブブラウザ上で作業を行うのが特徴

 まず、Chrome OSは他のOSとどう違うのか。

「他のOSを搭載したPCで何か作業をする場合には、例えばワードやエクセルといったアプリケーションが必要になり、それらをインストールして利用することになります。ですがChrome OSは、グーグルが提供しているChromeというウェブブラウザ上で、ほぼすべての作業を行う設計になっており、そこが大きな違いとなっています。

 PCの使い方として、アプリケーションをインストールするというのが一般的になっているので、Chromeというウェブブラウザしか動かないOSを搭載したPCが、使い物になるのかと疑問に思われる方もいらっしゃるかと思います。ただ、現状では大抵の作業がウェブブラウザのなかで完結していますよね。メールの読み書きや文章作成、表計算、プレゼンのスライド作成や、プロジェクト管理に使うツールでさえも、ウェブブラウザ上で動かせるものが増えています。ですから、システム開発や高度なビデオ編集といった特殊な作業をする場合以外であれば、企業でも一般家庭でも、問題なく利用できるOSだといっていいでしょう」(佐藤氏)

 では、Chrome OSは現在、市場でどのような立ち位置となっているのだろうか。

「拡大しつつあるものの、そこまでシェアを獲得できてないということもあり、Chrome OSというソフトウェアの存在や、Chromebox、ChromebookといったPCを知っている方は、まだまだ少ないと思います。また、アプリケーションをインストールしないという使い方に、やはりまだ馴染めないという方も多いはずなので、なかなか広まりきっていないのが現状です。

 そのあたりのことはグーグルもよく理解していて、例えば、学校が生徒用に導入するとか、企業が社内で従業員に配布するといった、PCを一気に取り入れるような環境を中心に向けてChrome OSの事業を展開しています」(同)

Chrome OSを利用する3つのメリット

 Googleが教育現場や企業向けにChrome OSを展開しているのには、OS自身の特徴や長所と深い関係があるようだ。

「Chrome OSのシェアが伸びた要因のひとつともなったのが、アメリカの教育市場で高く評価されたことです。生徒用のPCとしてChromebookが非常に使いやすいという評判やレビューを見て、企業や一般の方も利用し始めて、徐々にシェアが拡大していきました。

 どういった点が使いやすいのかというと、まずひとつめは、管理が非常に楽であるということです。他のOSのようにアプリケーションを使うとなると、まず、どこかからダウンロードしてインストールしなければならないですし、アプリケーションのバージョンが最新かどうかといった、さまざまな管理をしなければなりません。ですがChrome OSは、すべてをオンライン環境で管理・制御しているので、オンライン上にツールが用意されていれば、Chromebookを持っている全員がすぐに使うことができます。

 2つめのメリットは、PC本体にユーザー情報がほとんど入っていないということでしょう。Chrome OS で行った作業の情報などは、グーグルアカウントの下で集中管理されています。ですから、例えばある生徒がChromebookを壊してしまったとか、どこかに忘れてしまったといったトラブルがあっても、新しくChromebookを持ってきて、今まで使っていたグーグルアカウントでログインすれば、今まで使っていた環境が、一瞬の内にすべて復活するのです。アプリケーションの再インストールや、別アカウントへの再ログインも必要ありません。そういう意味でも、管理の負担が少なくて済むのが、大きな利点だといえるでしょう。

 3つめとして、PC本体の処理能力の高さがそこまで求められないというのもメリットです。普通、複雑な操作をPCで行おうとすると、CPUが高速でなければならなかったり、メモリの容量が大きくなければならなかったりします。ですが、Chrome OSを搭載したPCの場合、文章作成にしても表計算にしても、PC上ではウェブブラウザだけを動かすことになるので、ウェブブラウザが問題なく動く環境さえ整っていれば、十分に利用することができます。

 つまり一般的なPCでは、購入してから2~3年たつと、ハードウェアのスペックがもの足りなくなってしまいがちですが、Chromebookでは、そういったことが起こりにくいのです。現に私も、5年程前に発売されたマシンを今でも活用しています」(同)

 佐藤氏によれば、今では日本の教育現場でも使われ始めているというChrome OS。これから先、さらに利用者を増やして、Windowsを脅かすような存在になれるのだろうか。

「Chrome OSは、その長所や利点が、使ってみればよくわかるソフトウェアです。私自身、取材のメモ書きやちょっとした原稿執筆といった作業はChromebookで済ましていますし、おそらく、多くの方が想像している以上に使えるOSなんですね。

 現状ではまだまだ低いシェアしかありませんが、先述の通り、教育現場ではChromebookが非常に高く評価されていて、導入するところも増えています。高校生や大学生の段階でChromebookに触れて、その良さを理解した人が社会に出るようになれば、当然、Chrome OSを取り入れる企業も増えていくでしょう。そうすれば、一般ユーザーにもどんどんと広まっていくことが予想できるので、将来性はあると思います。もちろん、Windowsに匹敵するようなシェアを取れるかはわかりませんが、かなりの位置を占めるOSに成長していくのではないでしょうか」(同)

 Chrome OSは、多くの長所を持つ優れたソフトウェアなのは間違いないようだ。
(文・取材=後藤拓也/A4studio)

A4studio

A4studio

エーヨンスタジオ/WEB媒体(ニュースサイト)、雑誌媒体(週刊誌)を中心に、時事系、サブカル系、ビジネス系などのトピックの企画・編集・執筆を行う編集プロダクション。
株式会社A4studio

Twitter:@a4studio_tokyo

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