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転職サイトの“ただの私服姿写真”の女性モデルが「胸を強調」と猛バッシング浴びている件

文=編集部
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「フリー素材ぱくたそ」より(photo by すしぱく/model by 茜さや)

 社会全体で機運が高まっている男女共同参画運動。よほど極端な意見を持つ人以外、その趣旨に反対する人はいないだろう。しかし、ある日突然、インターネット上で「フェミニスト」を自称する人たちから議論のやり玉にされ、自分の職業や体格について誹謗中傷を受けたらどうだろう。そんな理不尽な事件が1月から今月にかけて発生していた。

 実業家兼グラビアタレントの茜さやさんだ。茜さんは秋田書店の『ミスヤングチャンピョン』のファイナリストなどを経て、現在はフリー素材のグラビアアイドルとして活躍していた。

「胸を小さくする手術をしないのは性を売り物にしている」

 事の発端はインターネット上に加工されて出回っていた茜さんの広告写真だった。転職支援サイトの宣材に用いられていたもので、「私服姿でカフェの椅子に座り、電話をかけている」というありふれた写真(文頭写真)だった。写真の公式クレジット表記は「朗報に笑顔が溢れるボーダー柄の服を着た女性のフリー素材」となっていた。しかし突然、次のようにTwitter上で議論のやり玉に挙がったのだ。

「わざわざ胸強調する三次元で釣ろうとするような所を利用したいと思わない」

 この投稿には賛否両論が殺到し炎上した。広告のあり方をめぐる議論は、やがてモデルの茜さん本人にも飛び火し、個人のTwitterアカウントに連日批判が書き込まれるようになった。批判の趣旨は「多くの人が目にする広告の写真に、胸を強調しているようにみえる女性を使うのはセクハラだ」ということだった。次第に茜さん自身の体格に関する誹謗中傷も増加していった。茜さんは、広告写真の自分は「普段の格好と変わらない」と反論したのだが、殺到する批判の火に油を注ぐだけだった。批判の中には、次のような心ない内容のものもあった。

「今は手術で胸を小さくすることだって出来るのにそうしないのは性を売り物にしてるってことでしょ そんなこともしないくせに何が『普段プライベートで生きている時と同じ』だ ふざるけるな」(原文ママ)

「フェミニズムとフェミニストって知っていますか」

 こうした極端な意見に、茜さんは自身の気持ちを漫画で表現することにした。一連の炎上事件の経緯や、その中で感じた気持ち、最近のネット上での議論のあり方に対して次のように描き、Twitterの公式アカウント上で公開した。

 この作品は2月6日までに計7540回ツイートされた。次のように共感するコメントが多く寄せられ、今も拡散され続けている。

「仰ってること、本当にその通りだと思います。問題があるとすれば、誰がどんな格好をしてても自由なはずなのに、性的対象化して見ている事を口に出してしまう人の存在だと私は思います…」

「『根本が正義じゃなくて優しさであってほしい』

 その通りですね。言葉を攻撃の手段にしてはならない。けれど『正義』ばかりを追求するうちに、自分が議論している相手が人間であることを忘れてしまう。それをしない為のブレーキが『優しさ』なんだと思います」

「グラドルという職業をこの世界から消したいのですか?」

 茜さんは一連の騒動を振り返って、次のように話す。

「騒動が終わった後も、あらゆる方向から欠点を見つけ、論点を変えては攻めてくる方々もいました。皆様ただ“言うことを聞かせたい”“自分の意見が正しい”と意地になっている方が多く、大変心が疲れてしまったというのが正直な所です。それぞれが正しいと思うものがあるのであれば、『私の意見は違う』とだけ思っていればいいのに、と。相手にわからせてあげようというスタンスこそ、間違っていませんか?

 あくまで、ひとつの意見を述べただけの人のSNS上や、DMにまで入り込んでくる方がいるのは、少しびっくりしてしまいました。そういう行動は『(問題意識や)意志があってかっこいい人』ではなく、『喧嘩を売っていない人に自分の正義をぶつけて攻撃する人』になってしまっているのではないかと思ってしまいます。

 『グラビアをしたことがある人は性の消費の対象なんだから、そんなことを言う権利はない!』『子供たちに悪影響だ!』みたいな事も言われましたが、次はグラドルをこの世界から消したいのかな? とも思いました。性別や職業の自由はないのでしょうか。

 まだ考えないといけないことはたくさんありますが、とりあえずSNSで暴言を吐くのではなく目の前のお友達やご家族に優しくすることから始めてほしいなと強く感じました」

 日本社会はまだまだ男尊女卑の傾向が強いといわれる。不平等な立場で悔しい思いをし、何かと戦って自分の権利を守らなければならない人もたくさんいる。まだまだ本物のフェミニストが活発に活動しなければならない社会環境なのだろう。だが反射的に誰かに議論を挑む前に、まずは茜さんの作品を読んでみてはどうだろう。そこから感じ取れる何かがあるはずだ。

(文=編集部)

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