次世代技術の結晶「初音ミク」を、“文化”にまで昇華させた者は単なるオタク?
そこで、以下に一つテーゼを提示しますので、ぜひ皆さんのご意見をお聞かせください。
「私は、ディズニーランドで、嬌声を上げながら、ネズミのぬいぐるみに抱き付いていく成人女性に対しても、同程度に『引きます』」
【4】あなたが「初音ミク」を理解できないのは仕方がない。しかし彼らの邪魔をしてはいけない。
私が生まれて初めてワープロで実験レポートを提出した時、友だちは私をオバケのように見ました。
私が電子メールの便利さを周囲に説いて回ったとき、「オタク」のレッテルを貼られて、大変冷たい対応をされました。
また、私が、自分のパソコンで統計処理ソフトを自作して、バイト先の学習塾の生徒の成績管理に使った時、人でなしのように言われました。
上記と同様に、みなさんが、新しい技術または文化である「初音ミク」を理解できなかったとしても、それは仕方のないことだと思います。
しかし、初音ミクの技術は、未来の情報処理技術の根幹です。
さまざまな分野(人工同時通訳、自動音声応対システム、VR(Virtual Reality)遠隔医療、QOL(Quality Of Life技術)への適用が考えられ、それらの技術の進歩は、人類の幸福に資するはずです。一人のエンジニアとして、これらの技術の発展を邪魔するものを、私は許しません。
そして、新しい文化をつくり出して、発展させ続けている若者たちに、冷水をぶっかけるようなマネをしないでください。新しいメディアの先行者であり続けようとし、そして常に冷遇され続けた私には、もうわかっているのです。
間違っているのは、いつだって、新しい技術とメディアを忌避する「あなた」です。
(文=江端智一)
【目次】
【1】初音ミクを生んだ“革命的”技術を徹底解剖!ミクミクダンス、音声、作曲…
【2】キャラ設定はない?ボカロPが語る「初音ミクの作り方」〜AKBファンと同じ?
【3】次世代技術の結晶「初音ミク」を、“文化”にまで昇華させた者は単なるオタク?
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