新型コロナウイルス感染症での外出自粛によって、Nintendo Switch用シミュレーションゲーム『あつまれ どうぶつの森』(任天堂、通称:あつ森)が大人気だ。無人島での移住生活を楽しむゲームで、プレイヤーは自分のアバターや家、家具などをデザインしたり、カスタマイズしたりして生活環境を整え、島の住民を増やして穏やかに交流していく――。不安なニュースが続く中、多くのユーザーが心温まる体験を続けている。だが、ここにきて、各プレイヤーの穏やかな島の生活を脅かす迷惑行為が物議を醸している。とある有名プレイヤーがTwitter上に以下のように投稿したのだ。
ちょっと、モヤモヤする出来事ありまして、YouTuberさんの島訪問依頼は、よっぽど信頼できる方以外はお断りさせていただこうと思います…。
— ? ? ? ? ? ? (@chicame) May 25, 2020
「ちょっと、モヤモヤする出来事ありまして、YouTuberさんの島訪問依頼は、よっぽど信頼できる方以外はお断りさせていただこうと思います…。」
「魔女の宅急便」をイメージした島
いったい何が起きたのだろうか。
この投稿者は、スタジオジブリの大人気アニメ映画「魔女の宅急便」をモチーフにした島づくりで話題になっていた。映画主人公の少女キキが勤めるパン店をマイデザイン機能を使用して忠実に再現。アバター用に、キキとおそろいの紺色ワンピースや大きな赤いリボンなど衣装も製作した。島内にはおしゃれな建物が立ち並び、辻々に花が咲き、住人たちでにぎわう楽しい世界を作り上げた。ツイッター上では「すごい可愛い!」「再現の出来がすごい」などと絶賛された。
花を散らす、住民を画面上から押し出す
そんな中、この島に目を付けた複数のYoutuberが、「島訪問の実況配信」を企画。24日に島を訪問して実況を行ったのだが、ここで迷惑行為が発生してしまったようだ。実況動画を見てみると、訪問したYoutuberらがパン店で縦横無尽に走りまわったり、島内の住民を無理に押し出して画面上から排除したり、花の上を歩き回って散らしたりしているのが確認できた。
こうした行為に対して、Twitter上では次々と島製作者に対する同情の声と、訪問者の行動に対して疑問の声が上がっている。
「世界観をめちゃくちゃに、された感じですね·····(;-;)」(原文ママ、以下同)
「お察しします。あれはないですね…。私がsoracoさんの立場だったら削除依頼お願いしたいくらいですね…。世界観とかそういうのを大事に紹介してくれるならまだしも…」
「お気持ちお察しします。該当映像と思われる物観ましたが、酷い扱いでしたね。気にしないでこれからも再現やマイデザ作成頑張ってください。うちの島もソラコさんのおかげで雰囲気出て楽しくプレイ出来てます」
ゲームであっても現実と同じようなマナーを
ゲームサイト編集者は次のように話す。
「手の込んだデザインになると画像パネル1枚の製作に数日かかることもあります。訪問者は、製作者の世界観そのものとも言える作品に足を踏みいれるのだから、とにかく相手の作品を大事にしなければなりません。誰だって、自分が一生懸命つくったものを滅茶苦茶にされたら、悲しいですよね。
あつまれどうぶつの森はコロナの影響で、急激にプレイヤー人口が増えたこともあって、日ごろゲームをまったくしない方や『ものづくりシミュレーション』がメーンではないプレイヤーの方がたくさん参入しました。こうしたマルチプレイヤーでの相互交流をする際に問題になってくるのが、ゲーム内のマナーをどのようにしてプレイヤー全員で共有していくかということです。
例えば戦闘での勝利や、対戦プレイヤーの破壊が目的のファーストパーソン・シューター(FPS)ゲームなどを主にやりこんでいた人のゲーム上の『礼儀』と、あつ森プレイヤーの『礼儀』はまったく異なるということを理解しなければなりません。これまでゲーム実況がメーンでなかったYoutuberの方はそのあたりの線引きがわかっていないのかもしれませんが、ゲームであっても現実のお店や家を訪問するのと同じだと考えたほうがいいと思います」
現実世界でもインスタグラムなどの撮影をめぐって、各地でトラブルが発生している。バーチャルであっても、人と交流するのであれば最低限のマナーを守ることは当然だろう。
(文=編集部)