月額2980円「ZEUS WiFi」が最強…都会&山奥でドバドバつながりデータ量無制限
全知全能の神「ゼウス」を名乗る割りには「ドバドバ」とか言いまくる「ポケットWi-Fi」の「ZEUS(ゼウス)」。CMではSNSや動画コンテンツ見放題というエンターテインメント性をうたっていたが、実際に使ってみると、外で仕事をするノマドワーカーや、取材や外回りでのネット利用が多いビジネスパーソン、そしてSNSやYouTuberなどコンテンツを発信する人が使うと最強! とわかった。
実際に旅先で使って性能を実証!「遅い」という意見もあるが、それは上辺しか見ていない実験結果だった!
月額使用料2,980円(税抜き/7カ月目以降から3,280円)でデータ容量無制限、しかも本体料金はタダというリーズナブルさも魅力だ。実際に街や田舎、付近に集落もないような山の中などでZEUS WiFiを使って通信し、その速度などを計測してみた。また何カ所かでは、普段筆者が使っているNTTドコモの4G回線や公営のフリーWi-Fiなどとも比較してみよう。
温泉旅行しながらスマホの4G回線とZEUS WiFiで速度比較
とりあえずZEUS WiFiが使えるのか否かを早く知りたいという場合は、この節を読み飛ばし、最後に軽く目を通していただいてもかまわない。
今回実験したのは、筆者が住む横浜から新潟は妙高山の温泉、そして岐阜の下呂温泉まで旅したときに測定した、各駅でのZEUS WiFiの速度、筆者が普段使っているドコモのスマートフォンSH-03Kの4G回線の速度、また民間や地方自治体などが提供するフリーWi-Fiの速度を測定している。
【ご注意】
※本実験は3月上旬に行っています。緊急事態宣言の発令を受け、掲載を見送っていました。本記事は、不要不急の旅行を助長するものではありません。
測定に利用したアプリは、Android用のアプリ「Speed Test Master」。4G回線の場合はスマホの4G回線の速度をそのまま測定し、ZEUS Wi-Fiの場合はスマホをZEUS本体にWiFi接続して測定した。なお自治体の運営するフリーWiFiなどは、スマホでそのWiFiに接続した速度を計測している。
各駅や場所での測定は、基本的に電車内の窓際で行い、電車が駅に完全に停車してから測定している。また乗り継ぎの際は、電車内ではなく駅を降りたホームや改札での測定値だ。また回線速度の計測は、何回か実行することで精度を上げるが、短時間の停車時間などもあったため、ここでは1回の測定値となっている。また大きな駅では何人もの端末が同時に回線を使っている場合などもあるため、必ずしも同様の実験を行った際に同じ結果とならないことに注意してほしい。
結論から言うとコンテンツ発信者&ノマドワーカー向け
さっそく各地で測定した回線速度の結果を見てみよう。
グラフで紫色になっている駅は、比較用に測定した筆者のスマホSH-03Kのドコモ 4G回線で測定した値だ。緑色になっているのは、地方自治体などがサービスしているフリーWi-Fiの速度でこちらも比較用。何も色が付いていない駅は、スマホをZEUS WiFiに接続して回線速度を測定した値となっている。
まずはみなさんが使っているスマホの4G回線だけを見ていこう。紫色のグラフに注目してほしい。多くの駅では、青いグラフが飛びぬけて高い数値を示している。これはウェブを閲覧すると一瞬で画像まで表示されたり、YouTubeなどの動画を見ると「HD」以上のキレイな映像をスムーズに再生できる「ダウンロード速度」が速いという意味を表している。青のグラフが低いときは、ウェブの画像がパラパラ表示されたり、YouTubeで解像度の低い映像しか表示できない。
一方、オレンジ色のグラフは、ファイル転送サービスやYouTubeに自分のファイルをどれだけ早く「アップロード」できるかの速さ。4Gの場合はダウンロードの速さに重きを置いて、アップロードがかなり遅い設定になっている。
また、グレーのグラフは遅延を示している。遅延は通信にさまざまな影響を及ぼすが、大雑把に説明するとウェブでリンクをクリックするとサクサク画面が切り替わったり、ネットワークゲームの反応が速くなる指標と思ってもいいだろう。もちろん遅延が少なければサクサク、多ければもっさりとした動きになる。
さて、そんな予備知識を踏まえた上で、次の2つのグラフを見比べてほしい。ひとつはZEUS WiFi、もうひとつはドコモ4Gの回線速度だ。
グラフの幅は測定地の数の関係で、4Gが太くなっているが、高さはZEUS WiFiも4Gも最高値180としている。ちなみにWi-Fiも縦軸をそろえているので、速度はグラフの高さで単純に比較できるようになっている。
いちばん目立つのは青いダウンロードの速度だが、4G回線が圧倒的な速さを見せる。他者のポケットWi-Fiもこれほどではないが、ZEUS WiFiより高速だ。ZEUS WiFiの弱点は、ダウンロード速度が遅いこと。とはいえ何かをダウンロードしながらYoutubeでHD映像を見るなどしなければ、それほど遅さが気になることもないだろう。
しかし本当に注目すべきはオレンジ色のダウンロード速度だ。ZEUS WiFiはダウンロード速度の平均を計算するとおよそ12Mbps。対する4Gは7MbpsとZEUS WiFiより遅い。つまりZEUS WiFiは、地方で仕事をして会社やファイル転送サーバにファイルをアップロードしたり、出先で取材した記事や映像をYouTubeやSNS、ブログにアップロードする、ビジネスパーソンやコンテンツ発信者にとって武器となる「アップロードの速いポケットWiFi」なのだ。
またZEUS WiFiのグラフを見て気づくのは遅延の大きい点。4Gの場合はスマホのアプリからスマホの4G無線モジュールにデータ通信するが、ZEUS WiFiは「スマホ→Wi-Fi→ZEUS WiFi→4G(クラウドSIM」と経由地が多いので、遅延が大きくなる運命にある。とはいえ、何が原因かわからないが遅延が大きい点が否めない。普通にネットで調べものなどをしていてもっさり感を感じることはないが、オンラインのゲームをするには向いていない。レスポンスの悪さが気になったら、他社のポケットWi-Fiか、PCからスマホをテザリングしてネットにつなぐといい。
最後は自治体などが運営している地域のフリーWi-Fiとの比較だ。こちらも4Gに比べると、一見アップロード速度に重きが置かれているように見える。というのも、みんなが使うフリーWi-Fiは、複数人で使うとすぐに速度低下するからだ。最近は映像を外で見ている人も多いので、ダウンロードはシェアする人数が多く、遅くなっているのかもしれない。結果としてデータをアップロードする人が少なく、アップロードは回線が空いているように見える傾向にある。
地方でも特急が停車するような大きな駅のフリーWi-Fiでは、ZEUS WiFiを使うより早くアップロードできる場合もある。ただ松本駅のように、もともとノロノロ回線っぽかったり、1回の通信時間に制限があったりという場合もあるので注意だ。また、最近のホテルはほとんどがWi-Fi完備(しかも速い!)されているので、ホテルや喫茶店なら確実に高速回線を確保できるだろう。ただ、そこを離れても安定したアップロード回線を確保するならスマホのテザリングより、ZEUS WiFiがいい。
都市ではもちろん、ほぼ無人の山中でもつながる!
先のグラフでは駅名こそわかるものの、日本のどのあたりかわかりづらかった。今回は日本地図の上に、グラフをプロットしてどのあたり(どのぐらい山中)では、どのぐらいの通信速度が確保できたかを見ていこう。まずは横浜を出発して、東海道線を経由し、富士山の脇を走る身延線で甲府まで向かう沿線だ。なおグラフの横のスケールは統一しているので、「長さ=速さ」となる。
ZEUS WiFiが100Mbps以上の速度を出すことは稀だが、熱海駅ではダウンロードの下りが100Mbpsをオーバー。場所や環境によっては、4G以上に快適になることもある。富士駅ではZEUS WiFi(青グラフ)と4G(紫グラフ)、そしてJR東海がサービスするフリーWi-Fi(緑グラフ)の実験ができた。4Gはコンテンツを楽しむダウンロードは速いものの、仕事のファイルなどアップロードするには使いものにならない遅さ。ZEUS WiFiならそこそこの速さでウェブを閲覧しつつも、完成した資料などを素早くアップロードできるようだ。
たとえば100Mバイトのファイルを送信するなら、このぐらいの時間がかかる。
ZEUS WiFi:57秒
ドコモ4G:およそ24分
さて富士山の西側を北進する身延線は、富士川沿いの山中を抜ける美しい景色が見られる路線。しかし大きな駅は中間の身延駅ぐらいしかなく、途中は小さな集落を結ぶローカル線だ。
終点の甲府はご存知通り山梨県の県庁所在地。ここではアップロードもダウンロードも同程度という速さ。駅前は市営のフリーWi-Fiがあるので、アップロードはこちらを使う手もある。
特急あずさの中でも安定して仕事ができる甲府~松本
新宿から長野方面に向かう特急あずさ沿線ではどうだろう? ZEUS WiFiは仕事で重要になるアップロード回線速度が、ダウンロードの半分以上が確保しているようで、ビジネスパーソンやコンテンツ発信者にとってZEUS WiFiは武器になる。
この区間を走る特急あずさの最新車両E353系はフリーWi-Fiを備えているので、ウェブの閲覧や映像コンテンツを楽しむならフリーWi-Fiと使い分けるのもいいだろう。ただし、あずさ号はビジネス客が多いので、フリーWi-Fiのアップロードが遅くなる場合がある、こんなときもZEUS WiFiなら自分専用の回線を確保できるので安心だ。
こんな郊外の信濃境駅でもしっかり通信できる。上諏訪や塩尻は、ご存知の通り精密工業で栄える街。プリンタのエプソンのお膝元だ。
松本~長野を経由し新潟との県境の山奥でも仕事ができる!
松本でのアップロード速度もなかなかの速さ、市営のWi-Fiは利用者が多いのか? もともとノロノロなのか? ZEUS WiFiにまったく及ばないようだ。長野に北上する篠ノ井線の姨捨駅は、山の中のスイッチバック駅として有名。見晴らしのいい小さな集落だが、十分に仕事ができる回線速度をキープできる。
なお長野駅では乗り換えの時間がなくて計測できなかった。ダウンロード速度が稼げる古間駅は、古代のナウマンゾウで知られる野尻湖近くの集落。新幹線開通前までは信越本線が通っていたので、山あいの第三セクターによる運営の鉄道ながら大きな集落がぽつぽつと点在する。
このあたりまで来ると長野県と新潟県の県境で、冬はスキーでにぎわう街。妙高高原駅で降りて、町営のマイクロバスに揺られて、妙高山を5合目ほどまで登っていったところに燕温泉がある。
ZEUS WiFiならこんな場所でもYouTubeのHD映像が楽しめるほどのダウンロード回線を確保できる。それどころか5Mbps以上のアップロード回線が確保できるので、100Mバイトのファイルを2分半で転送できる! ゆったり山の中の温泉でノマドワークするのもいいだろう。究極のテレワークだ。
木曽川の山中~岐阜県の下呂温泉でもZEUS WiFiでドバドバ!
新潟県の妙高山をあとにして、次に向かうのは岐阜県の下呂温泉。長野から木曽川の源流を名古屋に向かって降りていき、途中の多治見という町から北上して岐阜県の下呂温泉に向かう道のりだ。
中央西線の大きな街といえば、特急も停車する木曾福島駅だろう。中津川駅より東は名古屋の通勤圏内になるので住宅街になり、インターネットへのつながりもよくなる。
木曽川沿いを行く旧中山道なので、点在する集落は比較的大きい。それゆえ4G回線のつながりはよく、ダウンロードは非常に速いのだが、アップロードが極端に遅いのが難点だ。木曽川沿いで仕事したりコンテンツを発信するなら、アップロードが速いZEUS WiFiがやはり有利といえるだろう。
中津川駅や恵那駅になると、もう名古屋の通勤圏内。ビジネスで訪れる方も多いだろう。しかし先にも指摘したとおり、4G回線はファイルをアップロードする回線が極端に遅く、ここでもZEUS WiFiのほうが優位だ。たとえば中津川駅で100Mバイトのファイルをアップロードすると、こんな感じになる。
中津川駅 ZEUS WiFi:1分8秒
ドコモ 4G:2分44秒
恵那駅 ZEUS WiFi:41秒
ドコモ 4G:2分4秒
旅は多治見駅から太多線に乗り換えて北上。映画『君の名は』やアニメ『のうりん』にも登場した美濃太田駅からは、高山本線に乗り換え、どんどん山間の田舎へ進む。
山深い下油井駅では、ドコモ4Gとほぼ同じ通信速度。田舎に帰省して仕事するときも、ZEUS WiFiなら十分に回線を確保できるだろう。最終地点の下呂駅は、有名な温泉地なので4G回線のダウンロードは快調だが、ほかと同じようにアップロード回線は激遅だ。
しかしZEUS WiFiならアップロード回線はドバドバ(笑い)。たとえば下呂駅で100Mバイトのファイルをアップロードするなら、こんな感じだ。
ZEUS WiFi:55秒
docomo 4G:2分20秒
もちろん旅館にも温泉があるが、下呂の醍醐味は河原にある無料の温泉。ちょっと温めなので、ゆっくりパソコンしながら入るのもいいだろう
山深い村落でもアップロードが確保できるのはZEUS WiFi
日本全国をめぐることはできなかったが、関東・甲信越から東海地方にかけて、ZEUS WiFiの回線速度を調べてみた。その結果はコレまでの通り。今回比較対象にしたのはドコモの4G回線だが、大手キャリアは大抵ダウンロード速度に重きを置いているので、アップロードがかなり遅い。今回は甲信越、中部地方の実測データを掲載したが、おそらく全国的に同じ状況にあると察する。
しかしZEUS WiFiはウェブコンテンツやゲームをサクサク楽しむとまでは行かないが、ストレスなく普通に楽しめる程度のダウンロード速度を担保している。その上でドコモ4G回線の弱点である「仕事に重要なアップロード速度」をダウンロードの約半分以上確保しているのが特徴的。
つまりZEUS WiFiはビジネスパーソンやノマドワーカー、SNSやYouTubeなどを出先から配信するクリエイターにとって、大手キャリアより速いアップロード回線を提供してくれる「神」なのだ。
特徴をまとめると以下のようになるだろう。
・都会や山深い村落に限らず速いアップロード回線を確保できる
・つながらない場所はない
・月額2,980円でデータ量無制限、本体価格も無償という安さ
これまで大手キャリアのスマホでテザリングをしてパソコン用のインターネット回線を確保していた人には、ZEUS WiFiの追加購入をオススメする。こうすればZEUSは、会社の経費につけるなどして、キッチリプライベートと仕事の区別がつけられる。
なお、ここでは国内のみだったが、実は本体は海外でもインターネット回線を確保できるのも大きな魅力だ。料金プランはいろいろあるが、7日間1Gバイトプランなら近隣アジアでは430円と激安SIMを買っていくのが馬鹿らしくなる値段。レンタルより安い。しかも、ほとんどの国で追加使用料1,000~1,300円(南米は2,000~3,000円)という安さ。これは他社に比べるとかなりお手ごろ価格だ。海外出張の多い人だけでなく、価格の安さから短期の海外旅行者にもオススメだ。
またネットが規制されている中国(グーグルの一連のサービスやフェイスブック、ツイッター、インスタグラムなどが使えない)では、VPNを経由した制限を受けないネット環境も確保できる。
同時接続台数は10台までなので、海外旅行ではマップを見るためのスマホと、翻訳機、仕事用のパソコンをつないだり、友人と一緒にマップを見るのに使ったりもOK。なお筆者が使ってみた感じでは、大体1時間のオンライン会議をすると電池消費10%が目安。常に待ち受けにしておくと、1日で電池が空になる感じだ。
使用料は安いけどデータ量制限があったり、データ量無制限だけど使用料が高いというポケットWiFiが多い中、山深い中でもアップロードの早い回線を確保できる、ちょうどいいポケットWiFi。それがZEUS WiFiだ。
(文=藤山哲人/体当たり家電ライター)