スマートフォンの操作については、かなり幼い子どもでも、あまり問題なく行えるようだ。直感的なインターフェースを各社が追求しているおかげで、文字がしっかり読めなくとも、それなりに使えてしまうのだ。問題は使わせ方だ。
フィーチャーフォンの頃から、子どもに携帯電話を持たせることには賛否両論があった。ゲームやメール等でのコミュニケーションにハマりすぎて生活に影響が出ることや、個人情報を不用意に流出させること、出会い系のようなサイトの利用についてなど、保護者側から見て不安は多い。しかし、親子間での連絡に必要なこともあるだろうし、地域によっては中学生程度でも持っていて当たり前ということもあるだろう。
持たせるべきか持たせるべきでないかという部分は、じっくりと各家庭で考えていただくとして、いざ持たせるとなった時に役に立ちそうな端末やサービスをいくつか紹介しよう。
●子ども用につくり込んだ専用端末
最初から子どもに使わせるためにつくられているスマートフォンとしては、NTTドコモの「スマートフォン for ジュニア」がある。通称「ジュニスマ」は、今のところ1端末しかない。利用時間制限、通話・メール送付先制限、Webのアクセス制限といった機能が用意されている上に、アプリの利用制限も厳しい。Gmail等のGoogleアプリが使えないばかりか、Google Playからのアプリインストールも不可能だ。ドコモが提供するストアでは、学習系のアプリだけが表示される。
スマートフォンではないが、タブレットではトイザらスがAndroid搭載のタブレット「MEEP!」を発売する。こちらも時間制限、アプリ制限等ができる端末だが、一応子ども側から使いたいものを管理者(保護者)に「お願い」する機能があり、ジュニスマに比べると融通が利くという感じだ。
●子どものスマホを管理する各種サービス
各キャリアが提供するフィルタリングサービスを利用するのが一番簡単ではあるが、Webアクセス制限が基本だ。アプリのインストールや利用の制限までしようと思うならば力不足なことも多い。夜は使わせない、SNSアプリは禁止、と細かく設定しないならば専門のサービスが使いやすい。
スマートフォンやタブレットといったモバイルデバイスを遠隔で管理する製品は「MDM」と呼ばれる。企業が従業員のスマートフォンを管理するためのものがほとんどだが、中には特に子どもの持ち物を保護者が管理するということに注力しているサービスもある。
例えば「ミマモール」は端末の場所とアプリの起動制限という、比較的シンプルな「見守り」機能を提供する。複雑なことはできないが、多少古いスマートフォンでも利用できるのが魅力だ。例えば親が使っていた端末の“お古”を、Wi-Fi限定で利用させる場合などにも活用しやすい。
非常に多機能なものとしては「Optimal Gadget Youth」がある。時間を指定したロックで学校にいる間の利用を禁止したり、アプリの使用制限や、端末紛失時のデータ消去なども可能だ。
ほかにも類似のサービスはいろいろ出てきているから、手持ち端末の種類や台数に合わせて選択するとよいだろう。
●まずは保護者が勉強
なんでもかんでも制限するというのならば、スマートフォンをそもそも与えないほうがよい。あえて与えるからには、どう使わせるのか、何は禁止するのかをきちんと考えたいところだ。子どもの年齢や性格によって、しっかりと機能停止までしなければならない場合と、使う場所や時間について話し合うだけで済む場合とがある。軽い制限をかければ従う子どももいれば、抜け道を探す子どももいるだろう。
きちんとした話し合いや、ルール決め、機能制限を行う場合の適切な設定のためには、保護者側も勉強が必要だ。先に紹介した管理サービスも、どんなアプリが危ないのかを知らないままでは適切な管理が行えない。テレビ等で「●●が危ない」と聞いて鵜呑みにするのではなく、何がどう危ないのか、その危険は回避できないのかといったこともしっかりと理解してほしい。