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BALMUDA Phone、14万円で発売→「2年24円」に値下げでもナシ?な理由

文=あかいあおい/A4studio
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BALMUDAのHPより

 日本の家電メーカーBALMUDAが販売しているBALMUDA Phoneが、「2年24円」という破格の安値で契約できると話題になっている。

 BALMUDAといえば、スタイリッシュなデザイン性と使い勝手のいい機能性を持った家電製品が有名で、国内外問わず人気のメーカー。BALMUDA Phoneが発売されたのは昨年11月だったが、時代の寵児ともいえる家電メーカーがスマホ業界に参入したということで、かなりの注目を集めていた。

 しかし発売から半年も経たないうちに「2年24円」で契約できるようになっていたとのことで、SNSでは「値下げ早すぎ」などと驚きの声が広がっていた。

 そこで今回は、国内外のスマートフォン事情に詳しい、ITジャーナリスト・富永彩乃氏に、BALMUDA Phoneの評価や「2年24円」で契約する方法について解説してもらった。

こだわりのあるデザインと独自アプリが特徴

 BALMUDA Phoneは14万3280円(税込、以下同)という強気の価格設定だったが、実際のところその性能や使い勝手はどうなのだろうか。

「BALMUDA Phoneはソフトバンクが独占契約を結んでおり、現在ではソフトバンクショップおよびその販売代理店で購入することができます。従来のスマートフォンのアンチテーゼとして開発、卵型の曲線をメインとしたボディと、為替などの計算ができる計算機や独自のスケジューラーが特徴とされています。

 しかしこのデザイン性が人によって馴染まなかったり、尖った性能の独自アプリを活用する機会がなかったりと、スマートフォンのスペックとして満足する方が多くはないようです。さらに、その利便性がイマイチなところと、14万円越えという高価な価格設定に乖離があることから売れ行きが不調で、早々に破格の値引きが実施されているのだと考えています。

 なおBALMUDAは独自にSIMフリーモデルを当初10万4800円で発売、3月に7万8000円に価格改定を行いました。こちらはソフトバンクとの契約は不要ですが、端末割引などは受けられません」(富永氏)

2年後に返却することを条件に2年間24円

 ここからはBALMUDA Phoneの値引きについて詳しくみていこう。

「まず、2年24円というのは、2年間のレンタル後にスマートフォン自体を返却するというプランとなっています。このようなレンタルプランは最近増えており、今後も拡大する可能性が高いでしょう。

 今回のBALMUDA Phoneでいうと、2年後に返却することを前提に契約をすると、1カ月1円で使用することができ、2年後の24カ月目までにかかる費用が合計で24円になるというわけです。SNSなどでは“24円で購入ができる”と発言している方もいるのですが、購入ではなくあくまでもレンタルなので、そのあたりをしっかりと認識しておく必要があるでしょう」(同)

 では、割引の内訳はどうなっているのか。

「2年24円の割引の絶対条件として、機種本体の代金を48回の割賦払いにする必要があります。そのうえで、新規購入・MNP乗り換え・機種変更・端末本体購入のいずれかに当てはまる方に、4万9616円の割引が適用されるのです。少々ややこしい言い回しをしましたが、新規の方でも乗り換えの方でも、すでにソフトバンクで契約している方の機種変更でも適用されるということなので、要するにBALMUDA Phoneを契約するすべての方が適用される割引と考えて問題ないでしょう。

 次に5歳から30歳までの方の新規契約か、MNPで『メリハリ無制限』か『スマホデビュープラン』に加入、もしくはすでにソフトバンクで契約をしている方が機種変更することで2万2000円の割引が適用されます。

『メリハリ無制限』とは、YouTubeなどを思いきり楽しめることをウリにしているプランで、ギガ無制限、つまり速度制限がかからないといったプランです。『スマホデビュープラン』とは、その名の通りスマホデビューした人向けのベーシックなプランで、5分以内の国内通話の無料(0570から始まる番号など対象外となる番号あり)と、毎月5GB(14ヶ月目以降3GB)がセットになったものです。

 新規契約と機種変更の場合はプランにかかわらずこちらの値引きが適用されるので、MNP乗り換えの方で『メリハリ無制限』か『スマホデビュープラン』以外のプランを契約した方のみ対象にならないイメージでしょうか。

 上記2つの割引を適用した場合、合計で7万1616円の割引となり、7万1664円で端末を購入することができます」(同)

 この時点で約半額で購入できることになるので、レンタルではなく買い取りたいという方にとってもお得といえるだろう。ここからさらに2年間レンタルのプランにすることで、SNSで話題になっている24円契約ができるという。

「前述した2つの割引が適用されている方が、2年後の返却を条件とする『新トクするサポート』を併用することで、2年で24円での契約が可能になります。

 こちらのプランは24カ月目(2年後)に返却することで、48回割賦払いのうちの25回目以降を免除するというもの。これにより2年24円で契約することが可能となります。繰り返しますが、前述した2つの割引が適用されていることが前提となります」(同)

 ちなみに回線契約を伴わない契約で、「新トクするサポート」を利用した場合は、月々の料金が918円。2年間での負担額は2万2032円となるようだ。

今回はナシ? BALMUDA Phoneは次作に期待

 総合的に見てBALMUDA Phoneの2年24円での契約はアリなのだろうか。

「ナシかなと思います。これはBALMUDA Phoneの性能が劣悪だからという話ではなく、BALMUDAが打ち出しているコンセプトと、2年で返却というプランが噛み合ってないような印象だからです。

 というのもBALMUDA Phoneは革製品を模した質感で作られており、長年使うことで経年劣化が楽しめるような見た目をしています。実際に革で作られているわけではないので革製品のように経年劣化することはないのですが、シボを大きく利かせた背面は、深みのあるざらつきにより革のような手触りすら覚えます。さらに独自のスケジューラーアプリも、使うほどに自分好みにカスタマイズできるような仕様になっています。

 要するにBALMUDAは、長年愛用してもらえるようにと作り込んでいるわけです。ですから2年で返却するプランは、BALMUDA Phoneの“使うほどに馴染んでくる機能性”と相反しているように感じます」(同)

 では、レンタルではなく購入するのはどうなのだろうか。

「これは使う人によるかなと思います。昨今のスマートフォンは、カメラ性能が良かったり、動画を視聴するために画面サイズが大きかったりするものが主流となっています。対してBALMUDA Phoneはカメラのスペックは普通で、コンパクトなデザインを売りにしているので、画面サイズはやや小さめです。そのため、これらの機能を重視している方には不向きな印象を受けます。

 一方、為替の計算ができる計算機が入っていたり、独自のスケジューラーが充実していたり、さらには持ち運びやすいコンパクトなデザインに仕上がっているので、例えばビジネスパーソンが仕事用として使うには便利かもしれません。

 とはいえ問題になってくるのは値段でしょう。先に述べた値引きをフル活用したとしても、購入する場合の金額は7万1664円です。昨今は2、3万円代のスマートフォンでも高い性能のモデルが増えているので、スケジューラーや計算機の充実性だけで7万円を払う人は少ないように感じます」(同)

 BALMUDA Phoneの2年24円という破格契約が出てきた背景には、馴染みがないデザイン性や、時代に反した高い値段などが要因として存在するようだ。BALMUDA自体のファンや、BALMUDA Phoneのデザイン性が好みという方であればアリなのだろうが……。BALMUDAは今後もスマートフォン事業を拡大していくようなので、次作に期待したいところである。

(文=あかいあおい/A4studio)

A4studio

A4studio

エーヨンスタジオ/WEB媒体(ニュースサイト)、雑誌媒体(週刊誌)を中心に、時事系、サブカル系、ビジネス系などのトピックの企画・編集・執筆を行う編集プロダクション。
株式会社A4studio

Twitter:@a4studio_tokyo

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