消費者、利用者の生の声を集めたいと考えた時、今最も効率的なのはインターネットアンケートだろう。アナログな手段よりも迅速に結果が得られることもあり、マーケティングの主流となった。10年前と比較すると圧倒的に速く結果が出せる手段として利用する企業が増えているが、そのユーザー層は大手企業に偏っているという。
インターネットリサーチを手がけるマクロミルでは、年間約2500社を対象にビジネスを展開しているが、その多くが上場企業など一般に名を知られた大手企業だという。日本に数多く存在する中小企業などは、まだインターネットリサーチを十分に活用できていない状況だ。
そこで、より多くの企業はもちろん、あらゆる団体、個人が気軽に利用できる新しいインターネットアンケートシステムとして、マクロミルが新しく生み出したのが「Questant(クエスタント)」で、本日(10月31日)、無料版(後述参照)サービスがリリースされた。
「Questantは、クエスト・アシスト・インスタントからなる造語です。このサービスでは価格やスピードも含めてダウンサイジングして、さまざまなお客様により使いやすいサービスを提供したいと考えています。マクロミルの経営方針であるリサーチ事業のロングテールという位置づけで、最終的には国内だけで400万社をターゲットにしています」と語るのは、マクロミル DIYサービス準備室室長の荒川徹氏だ。
●思い立ったら即実施できる手軽さが魅力
現在、国内インターネットリサーチ業界の市場の伸びは年々鈍化してきている。しかし、北米では従来型の1回の調査ごとに高額の費用がかかる方式ではなく、スマートフォンやタブレットから手軽に利用できる上に、実施回数に関係なく年間数万円程度の費用で気軽に活用できるアンケートサービスが登場し、これが人気を得ている。日本でこうしたサービス形態をいち早く導入しようとしているのが、マクロミルの「Questant」だ。
この流れは、ユーザーのニーズにも合致している。リサーチ会社の営業担当者とじっくり相談をして実施するのではなく、手軽かつ迅速に実施したいという要望が増えているのだ。また、都度見積もりを取るかたちだと社内でも稟議を通す時間などが必要になるため、もっと即応力のあるサービスも求められている。しかし手軽ならばよいというわけではない。日本語でのサポートが受けられること、日本企業の商慣習に対応していること、国内で十分な実績があり、顧客データを預けることに抵抗がないことなどが求められる。そうしたニーズを利用者から感じ取った上で「Questant」が開発された。
前出の荒川氏は、「北米で多くのユーザーを獲得している、SurveyMonkeyを参考に、日本のユーザーニーズに応えられるものをつくりました。日本発で日本にまず根付かせた上で、数年以内にはアジア圏を中心に海外でQuestantを展開している状況をつくっていたい」と展望を語り、日本でのニーズに応えるサービスに仕上がっていることが期待できそうだ。
●サイトでのオープンアンケートから、社内・会員アンケートまで自由自在
従来のマクロミルのサービスは、同社の登録されている調査モニタへアンケートを配信・回収を行うもの。それに対して、「Questant」は企業側で抱えている顧客会員やアンケートページにたまたまたどり着いた、一般不特定多数からの回答を得るオープン型のアンケートだ。自社サイトやSNSのファンページに埋め込んで、通りすがりのユーザーを対象にすることができる。
もちろん、アンケートページのURLをメール等で告知することで、ターゲットを絞り込むことも可能だ。自社の会員システムに登録されているメールアドレスや、社員等の限定されたユーザーだけを対象としたクローズドアンケートも実施できる。紙媒体のチラシ等にQRコードを印刷して誘導したり、タブレット等を活用して街頭アンケートを行ったりと応用の可能性は広い。
利用シーンとしてマクロミルが想定しているのは、企業が製品ユーザーに対するリサーチとして行うアンケートだけではない。病院が患者に対して、学校が生徒や保護者に対して、企業が従業員に対して行うようなケースも考えている。また、店舗やイベントなどで満足度や評価アンケートを行ってもよいし、ネット上でクイズや投票のように楽しむという方法もある。
アンケートの文言について相談をしたり、統計資料として活用できるものをつくったりしたい時には従来型のサービスを利用し、気軽に感想を聞くようなアンケートには「Questant」を利用するというような形で使い分けることもできるだろう。
●アンケートの作成・結果加工も簡単
アンケートの作成、告知、集計といった基本機能を持っているだけでなく、初心者でも簡単に扱えるインターフェースも備える。マクロミルのノウハウがつまったアンケートテンプレートを選択し、簡単な基本情報を入力するだけでアンケートは構築可能だ。SNS時代には欠かせないShare機能も当然搭載しており、手軽に共有可能だ。アンケート結果のデータもダウンロードしてから加工するのではなく、操作画面上で簡単に絞り込みや強調などが行える。共有も、その画面から作成した画像を利用して共有するというイメージだ。
「キレイに、かっこよく調査結果を見せたいという要望は非常に多くあるのですが、難しいツールを使ったり、Excelで加工するのはつらい、時間がかかって仕方がないという声をよく聞きます。Questantはもちろん各種データのダウンロードもできますが、Web画面上でグラフィカルなアウトプットを選択・表示ができ、グラフに動きをつけながら、そのままプレゼンテーションが行えるのがポイントです」と荒川氏は語る。
ロゴの挿入や企業カラーの反映なども自由に行うことができ、そのまま自分用のテンプレートとして登録できる。今年12月以降に英語版、中国語版をリリースし、その後も多言語対応予定であるため、外国人を対象にしたアンケートにも、海外からのアンケート利用も可能となる。