せどりとは、本やCDなど中古品を安く仕入れ、高く売ることで利益を得るビジネス。ネットの普及でオンラインで簡単に販売できるようになり、副業としてせどりを選ぶ人も多くいます。
しかし、せどりは本当に稼げるのでしょうか?また、せどりと転売はどう違うのでしょうか。この記事では、せどりの基礎知識やメリット・デメリット、初心者向けの仕入れ先やコツなどを紹介します。
せどりとは?「せどり」「転売」は何が違うのか
せどりとは安く仕入れた商品を、仕入れ値より高く販売して差額を得るビジネスです。
「せどり」と「転売」は安く仕入れて、高く売って差額を得る点では同じビジネスといえます。ただし「せどり」が「安く仕入れて適正価格で売って、差額を得る」ケースが多い反面、「転売」は適正価格を上回る異常な高値で取引するケースも多いです。
近年問題視されているトレーディングカードや高級腕時計、キャラクターグッズの買い占めなどはいずれも「転売」に相当します。
せどりの基本:様々なせどりの手法
先述した通り、もともと古本からはじまった「せどり」ですが、現在はさまざまなアイテムがせどりの商品として扱われています。せどりの基本知識から、現在のせどりの手法をご紹介します。
実店舗せどり
実店舗せどりとは、その名の通り「店舗」に出向いて店頭でスマホを用いて価格リサーチを行い、仕入れを行うものです。
ディスカウントストアやホームセンターなどが代表的な仕入れ先。また珍しい例では「輸出」を前提に100円ショップなどで和風のアイテムを仕入れ、eBayなどで販売するケースも。これもまた実店舗せどりの一種です。
オンラインせどり(電脳せどり)
オンラインせどりでは、ネットオークションやフリマアプリ、各種通販サイトのセール商品や海外サイトを対象にリサーチを行って仕入れをします。「電脳せどり」ともよく呼ばれます。
中古せどり
中古品に絞ったせどりを行う人も多くいます。たとえば「ゲーム機」は定番の1つ。レトロゲームは非常に人気がある分野で、発売後数十年以上経過したハードやカセットでも、現在も高値で取引が行われます。
数十年前のハードやカセットは、構造的には比較的シンプルなものも多いため、ジャンク品を仕入れて修理をしたり、ヤニや日焼け、カビをクリーニングして動作確認したうえで「修理済み」として販売する人もいます。専門性がやや高いですが、これもせどりの一分野です。
せどりのジャンル選び・商品選びのポイント
せどりにおけるジャンルや商品選びのポイントをご紹介します。
前提として「自分の好きな分野」
まず初心者のうちは、仕入れる商品を選ぶにも「何を見たらいいのかが分からない」状態に陥りがちです。なおかつはじめのうちは利益が出る商品が見つからないものです。リサーチ時間そのものが長時間になるでしょう。
「通年商材」か「季節商材」か
商品には「売れる時期」があります。典型的なものが「服」。
「ニッチ」か「高回転」か
さきほど「レトロゲーム」の例を出しましたが、レトロゲームはニッチ分野の1つです。日用品のように頻繁に売れるものではないためです。
「薄利多売を目指すか」「売れるペースは遅いが一件当たりの利益が大きい状態を目指すか」戦略を練って、参入分野を決めましょう。本業でせどりをするならば薄利多売、副業ならばニッチ分野がやりやすいでしょう。
単価
たとえば同じ「100万円」の仕入れ予算がある場合でも、高級腕時計を仕入れるのか、本や服を仕入れるのかで扱う点数や回転率などは大きく違ってきます。高級腕時計ならば扱う点数は1点~多くても2点程度になるでしょう。扱う単価帯を決めることも大切で、高級路線で行くか安めの路線で行くかでジャンルが必然的に決まります。
仕入れ先の近さや数、幅広さ
仕入れ先の近さや数、幅広さも重要です。たとえば地方に住んでいて「月に1回程度、ディスカウントストアに行き、仕入れを行う」といった場合、仕入れ頻度が少なすぎてあまり利益にはなりにくいでしょう。「仕入れやすい環境」や「仕入れやすい店」に見当を付けておきましょう。
せどりの主な仕入れ先
せどりの主な仕入れ先は、実店舗、フリマアプリ、ネットオークション、海外通販です。
実店舗(ディスカウントストア、ホームセンターなど)
実店舗の定番はディスカウントストアやホームセンターなど。一時期は、ダイソーで購入した商品をeBayを通じて海外に出品するケースが多くありました。
ただし実店舗での価格リサーチは、店舗から迷惑行為として注意されるケースもあります。「常識的な範囲内」かつ「自己責任」でリサーチをしましょう。
フリマアプリ、ネットオークション
メルカリやヤフオク!といったフリマアプリ、ネットオークションも仕入れ先の定番です。
海外通販
アリババやタオバオなど中国通販やeBayのような海外の通販サイトなども定番です。
せどりの主な販売先
仕入れた商品を販売する場としては、Amazon、フリマアプリ、ネットオークション、自社EC、輸出などが挙げられます。
Amazon
Amazonのマーケットプレイスに出店し、販売するのが「販売先」として定番です。Amazonのマーケットプレイスへの出店申請の方法は、以下の通りです。
まず、Amazon出品用アカウント登録手順にアクセスし、出品用アカウントを作成します。
アカウント作成には以下の書類が必要になります。
・行政機関発行の顔写真付きの身分証明書(例:パスポートや運転免許証等)
・過去180日以内に発行された取引明細書(例:ガス・電気・水道料金等の請求書)
・ビジネス用のEメールアドレスまたは既存のAmazonアカウント
・電話番号
・有効なクレジットカード
・銀行口座番号(Amazonから売上金を受け取る口座)
出品アカウントの登録が完了したら、出品したい商品の登録を行います。
Amazonマーケットプレイス内で販売されている商品の出品を「相乗り出品」と呼び、一つの商品ページに複数の出品者が登録する形になります。すでに商品情報の登録がされているため、自分でページや説明文を作成する必要はありません。商品名やJANコードで検索を行い、存在するページに自分の商品を追加する形となります。
Amazonマーケットプレイスに登録されていない商品を販売する場合は、JANコードなどの製品コードを取得し、新たに商品詳細を登録します。
また、Amazonマーケットプレイスでは、商品の発送方法を「自己発送」もしくは「FBA(フルフィルメント By Amazon)」から選択することが可能です。「FBA」はAmazonの倉庫に商品を保管・注文後の梱包や発送・返品などの配送業務を代行してくれるサービスです。代行手数料が発生するというデメリットはありますが、配送業務のすべての手間が省けるほか、Amazonマーケットプレイス内でFBA利用の出品者を優先的に上位表示される仕組みとなっているため、商品が売れやすくなるといったメリットがあります。
フリマアプリ、ネットオークション
メルカリ、ヤフオク!は販売先としても定番です。メルカリでよく売れるものについては、こちらの記事も参考にしてください。
自社EC
BASEなどで自社ECサイトを立ち上げ、自社ECで仕入れた商品を販売するケースも多いです。ただしヤフオク!やメルカリ、Amazonと比較すると集客力で劣るため、広告手段は別途必要です。
輸出
Amazon.com(アメリカ)や、eBayなどに対して国内で仕入れた商品を輸出するケースもあります。この場合、商品を卸値や割引価格で仕入れることができれば、仕入れ値の安さ+海外と国内の価格差で比較的大きな利幅を得られます。
せどりの準備
せどり初心者がせどりを始める準備をご紹介します。
スマホ
前提としてスマホは必要です。リサーチ時には価格を調べる端末となり、メルカリやヤフオク!、Amazonなどに出品する際には「出品ツール」になります。
仕入れ資金
仕入れ資金も必要です。いくら用意するかは「いくら稼ぎたいのか」によりますが、できれば100万円以上の仕入れ資金がある方が望ましいです。利益率が30%であれば、100万円の仕入れ資金で30万円の利益が生まれ、専業としてはやや苦しいものの、副業として非常に良い収入になります。
古物商許可証
古物商の許認可も取得しておきましょう。申請から許可が降りるまでには時間がかかるため、せどりを始めると決めたら何はともあれ申請しておくといいでしょう。
仕入れ商品のリサーチ方法について解説します。
【Amazon】Keepa
「Keepa」は、Amazonの価格履歴をチェックすることのできるツールです。「Keepa」を導入することにより、その商品の価格の変化が分かります。
ブラウザに「Keepa」アドオンを入れておけば、商品ページですぐに商品の価格変動を確認できます。
なお、詳しくは以下の記事で解説しているので参考にしてください。
【ヤフオク!】オークファン
オークファンは、ヤフオク!や楽天、Amazonの落札相場や価格の変化をチェックできます。
仕入れ対象の商品が「利益が出るか」調べる方法
仕入れを考えている商品が利益が出そうかどうか調べる際におすすめなのが、「FBA料金シミュレーター」です。
続いて「FBA料金シミュレーター」にアクセスします。
せどりの代表的なジャンル
本・コミック
前述の通り、せどりの発祥は「古本」であり、2023年現在もせどりの代表的ジャンルです。特にコミックの全巻セットは定番であり、ばら売りで各巻を集めてセット販売するだけで大きな利益になることがあります。
家電
家電は高価格帯かつ実用的なため、「回転率が良く利幅も大きい」ことから人気分野です。家電量販店やディスカウントストアで家電を中心にリサーチをする人も多いです。
ゲーム機
前述の通り、レトロゲームを中心に「ゲーム機」は根強い人気があります。特に中古せどりの中心的な分野の1つです。ディスクドライブのちょっとした不調の修理や、ヤニなどの清掃などを自分でできるとよりベターです。
服
中国輸入での仕入れの定番が「服」です。中国輸入で服を仕入れて、インフルエンサーにInstagramで拡散してもらいつつ自社ECで販売するといったケースが近年は目立ちます。せどりの一種ですが、輸入販売業に近いです。
せどりのリスク
せどりのリスクとしては、 在庫リスクとメーカーからの規制が挙げられます。
在庫リスク
せどりは基本的には「有在庫」のビジネスです。そのため売れなければ手元の商品は不良在庫となります。キャッシュフローには常に気を付けましょう。
メーカーからの規制
せどりをした商品をECモールで出品していると、メーカー側から商標権侵害であるとして出品取り下げ要請が届くことがあります。これはその商品が適切に管理されているかが不透明で、商標の持つ「品質保証機能を侵害している」とメーカー側が判断しているためです。
特に食品や一部の家電などで、これらの警告は届きやすい傾向があります。こうしたメーカーからの警告のリスクも事前に認識しておきましょう。
せどりについてよくある質問
せどりに関するよくある質問と答えをご紹介します。
せどりは違法?
せどりは「商品を安く仕入れて、高く売る行為」であり、この行為には違法性はありません。ただし「酒」「医薬品」など許認可が必要な商品を無免許で販売するケースや、チケットなど転売そのものが禁止されているものを転売すると違法となります。
せどりの仕入れ費用にはいくら程度の準備をすべき?
前述の通り、できれば「100万円」程度を準備しておくとよいでしょう。
せどりで初心者はまずいくら程度の利益を目指すべき?
10万円~30万円前後を目指すとベターでしょう。100万円の仕入れ費用を準備したら、ざっくり10%の利益率で10万円、30%の利益率で30万円の収益が得られます。実際にリサーチしてみると、30%の利益率の商品を次から次に仕入れるのはハードルが高いものです。現実的にはまずは10万~15万円前後の収益となることが多いでしょう。
まとめ
副業としても人気のせどり。特にオンラインでのせどりは、仕入れ先も販売先もネット上で完結できるため簡単に始めることができます。
ただし、仕入れを行う前に販売ページに出品し、販売されたあとに仕入れを行う、いわゆる「無在庫販売」には注意。その行為自体は違法ではないものの、仕入れに失敗して商品が発送できない場合、債務不履行となり、悪質な場合は詐欺罪に問われてしまう場合があります。
あくまで「安く仕入れたものを適正な価格で販売する」ことがせどりのスタンスである点に注意しましょう。