スマホやパソコンで利用できるWi-Fi(無線LAN)は、米国電気電子学会が定める「IEEE802.11」という標準規格ですが、2023年7月には新たに「LiFi(ライファイ)」が「IEEE 802.11bb」として規格化されることになりました。Wi-Fiより約100倍も高速だと言われていますが、いったいどのようなものなのでしょうか?
「LiFi」は電波ではなく光を使った光無線通信規格!
スマホやパソコンをネットに接続するとき、会社や自宅、ホテルなどでWi-Fi(無線LAN)を利用することがあると思います。
これは、米国電気電子学会「IEEE(アイトリプルイー)」という団体が標準規格を定めており、23年8月現在の最新規格は「Wi-Fi 6E(IEEE802.11ax)」で、最大9.6Gbpsとなっています。
さらに、最大46Gbpsを目指す次世代規格「Wi-Fi 7(IEEE 802.11be)」の規格策定も進んでいますが、詳しくはこちらの記事でご確認ください。
そのようななか、23年7月12日、スコットランドの「pureLiFi」と「Fraunhofer HHI」が、新たな「IEEE802.11」である「LiFi(ライファイ・IEEE 802.11bb)」を標準規格化することを発表しました。
このLiFiは、テストで従来のWi-Fiよりも約100倍も速い224GB/s(理論値)を実現できたとしています。いったいどのような方法で、このようにケタ違いの高速通信が可能となったのでしょうか?
●pureLiFi「Global LiFi firms welcome the release of IEEE 802.11bb global light communications standard」は→こちら(英語)
●LiFi(公式)は→こちら(英語)
LiFiは、いったいどのような方法でWi-Fiの100倍もの高速通信を実現したのでしょうか? その秘密は従来のWi-Fiのように無線電波を使わず、可視光と不可視光(赤外線)を利用していることにあります。
ただし、LiFiは光を利用しているため、アクセスポイント(ルーター・親機)とデバイス(スマホ・子機)の間に遮蔽(しゃへい)物がなく、お互いに見えている状態でないと接続できません。
当然、従来のWi-Fiのように壁や扉がある場所では接続できませんし、スマホをかばんに入れただけでも通信が切れてしまうのです。
「何だ、まるでテレビのリモコンじゃないか」と感じた人も多いでしょうが、実際、リモコンも赤外線を利用しているので、あながち間違っていないのかもしれません。
というわけで、LiFiは従来のWi-Fiのようにどこでも接続できるわけではありません。おそらく、実用化されても、Wi-Fiに取って代わることはなく併用されることになるでしょう。
ちなみに、LiFiは光が届く場所でないと接続できないため、逆にセキュリティ的にはWi-Fiよりもかなり強固なものになりますので、機密情報を扱う企業や団体などでは利用価値が高いかもしれません。
もちろん、ケタ違いの転送スピードを持っていることのメリットは大きいので、どういった形で市場に投入されるのか、今から楽しみですね。