MVNOのビジネス拡大が期待される背景には、もちろん各事業者が提供するサービスの魅力が高まっていることも、大きな要因として挙げられる。NECビッグローブの例を挙げると、同社が昨年12月2日に発表したのは、月額980円で月あたり1GBまでLTEの高速回線を利用できるBIGLOBE LTE・3Gの新しい料金プラン「エントリープラン」。月当たり7GBの通信ができる大手キャリアの料金プランと比べれば容量は少ないが、この料金プランにはWi-Fiスポットの利用料も含まれるとのこと。Wi-Fiを上手に活用すれば、月額1000円未満で高速データ通信が利用できるのは魅力的だ。
LTEへの対応などMVNO側のサービス充実が急速に進んだのに加え、人気スマートフォンのSIMロックフリーモデルが登場したこと。さらに言えば、大手キャリアのスマートフォン月額利用料が7000円程度と高止まりしており、それに不満を抱くユーザが増えていることを考えると、MVNOに大きな商機が出てきているのは確かだろう。
●MVNOの課題は端末価格とサポート
だがNECビッグローブの古関社長は、「MVNOの料金が安いといっても、キャリアのビジネスをすべて奪うとは考えにくい」とも話している。MVNOが市場で一定の割合を占める可能性はあるが、それが既存キャリアの脅威となる規模に達するのは難しいことも、また事実だろう。
その要因はいくつかある。1つはSIMロックフリー端末の価格が高いこと。いま市場で最も人気のあるiPhone 5sの場合、16GBモデルで7万1800円の値段が付けられている。それより安いiPhone 5cであっても、価格は16GBモデルで6万800円だ。Nexus 5はより安く、16GBモデルならば3万9800円で購入できるが、それでも2年間契約し続ければ大幅な割引を受けられ、また端末の選択肢も豊富なキャリア各社のスマートフォンと比べると、購入しづらい面は否めない。