コストは予測不能?企業を襲う“激震”Windowsサポ切れ
これをIT部門が代行するというのも厳しいだろう。数人で数百〜数千台の面倒を見るとなると、通常業務以外の負担が大きすぎる。専門家の手を借りたり、なんらかの自動化ツールを使いたいところだ。
Windowsだけじゃない! アレもコレも乗り換え必須!
Windows XPのサポート期限とともにやってくるのが、Microsoft Office 2003のサポート期限だ。つまり、Officeを使っているならば、それも乗り換える必要がある。そしてOfficeのバージョンが変わると、うまく動かないマクロなども出てくるのがやっかいなところだ。
さらにプリンタやスキャナといった機器や、各種アプリケーションもWindows 7には対応していないものもある。Windows移行のコストとして、PC本体とデータ移行のための人件費だけを計上していると、思わぬ出費となる部分だ。
また、インターフェースの違いがあるため、場合によってはユーザー教育も必要だ。特にPCはあくまでも便利な文房具というだけで、PCそのものに詳しくないユーザーの多い職場では、使い始めると小さな疑問が山のように出てくるだろう。これをケアする時間や人材を用意しなければならない。
Windows XP同士での乗り換えとはだいぶ様子が違ってくるが、「PCの乗り換えくらいで騒ぐ必要はない」と思っているならば、少し考え直したほうがよいだろう。
移行の前後も大変!
もし1人ひとりが自分のマシンに責任を持つ、というエンドユーザーまかせなやり方ではなく、IT部門や外部の専門家がトータルで面倒を見ようと考えているならば、各マシンがどういう状況にあるのかを確認する必要がある。その時、外面的な話ではなく実際に基づくデータが必要だ。
たとえば、メーラーはOutlookを使うこと、と決めていたとする。しかし実際にはOutlook ExpressやBeckyを使っているユーザーがいたり、Gmailに転送して使っているユーザーがいるかもしれない。作成したデータはマイドキュメントに保存というルールがあっても、デスクトップやDドライブに保存している社員がいるかもしれない。そうした例外を、例外だからと切り捨ててしまってよいのならば話は簡単だが、そうもいかないだろう。
つまり、移行前には「現状把握」というフェーズが存在する。現状把握ができた上で、何を移行するのか、新環境ではどんなアプリケーションや周辺機器を使うのかといったことを検討する。そして実際の移行前には新環境の動作テストと、旧環境から新環境への移行テストが必要だ。
社内に異なるOSが乱立……
すべてが済んでから実際の移行作業になるが、もし一括で移行できないならば、一時的に社内に異なるOSが存在する状況が発生する。仮に本当に一斉移行をするなら、現在接続されているマシンと同数の電源やLANポートが必要になったりするから、現実にはある程度の混在期間が発生するだろう。この処理をどうするのかも決めておかなければならない。もちろん、移行作業後には動作確認も必要だろう。