ビジネスジャーナル > ITニュース > IT全般ニュース > 球場でスマホからビールを注文?  > 2ページ目
NEW

ビーコンの普及進むか?球場でスマホからビールを注文…安価で導入、売り上げ最大化も

文=佐野正弘/ITライター
【この記事のキーワード】, ,

 同球場では、バックネット裏1階の座席にアプリックス製のビーコンを設置し、これを活用してスマホからビールの売り子を呼び出すという実証実験を実施。具体的には、観客がメディアアクティブ製の「野球場ナビ」というアプリを自分のスマホにインストールし、アプリ上で自分の番号座席を入力した後に好みのビールの銘柄を選ぶと、ビールの売り子を直接呼び出せる。

ビーコンの普及進むか?球場でスマホからビールを注文…安価で導入、売り上げ最大化もの画像2京セラドーム大阪で、スマホのアプリからビールの売り子を呼び出す実証実験を実施

 この実証実験では、iBeaconを観客のスマホではなく売り子に持たせているiPhoneと連動させているところが大きなポイントとなっている。つまり観客がスマホから売り子を呼び出すと、iBeaconを経由して利用者の座席近くにいる売り子のiPhoneに通知が入る。その通知を受けた売り子が、観客の元を訪れてビールを提供するという仕組みなのだ。

ビーコンの普及進むか?球場でスマホからビールを注文…安価で導入、売り上げ最大化もの画像3売り子全員がiPhoneを持っており、観客からの呼び出しがあると、iBeaconを経由して観客の座席近くの売り子に通知される

 球場を訪れる観客が持つスマホの種類はまちまちであり、現時点では必ずしもすべての人がiBeacon対応の端末を持っているとは限らない。しかし、売り子側にiBeacon対応デバイスを持たせることは容易だ。観客に与える負担を少なくしながら、iBeaconのポテンシャルをうまく活用した事例といえるだろう。

●顧客の利便性だけでなく、売り上げの向上にも寄与

 今回の取り組みは、あくまでバックネット裏という限られた座席で実施されているものであり、サービスの提供回数も、オリックス・バファローズの今シーズンのホームゲームのみとなっていることから、それほど多いわけではない。今回の成果によって、来季の本格導入に向けた準備を進めていくとのことだ。

 現時点ではあくまで売り子を呼び出すだけであり、ビールの購入には従来通り現金を支払う必要があるが、将来的にはスマホで決済もできるようにしたいとのこと。スマホ1台で決済まで実現できるようになれば、利便性も大きく高まるだろう。

 またこの仕組みを用いれば、売り子を呼び出した観客の場所、売り子がオーダーを受けた回数なども確認できるようになる。これをリアルタイムに分析して売り子の配置を最適化していけば、売り上げアップにもつなげられるだろう。iBeaconの活用は、単に顧客に利便性を与えるだけでなく、導入した企業側にとってもデータを活用して売り上げの最大化にも結び付けられる可能性を持ち合わせているのだ。

 リアルとの接点を容易に実現できるiBeaconだが、比較的新しい技術ということもあり、有効な活用方法については各社が模索を続けている状況だ。だが京セラドーム大阪の事例のように、ユーザーにとってわかりやすいメリットが得られる施策が増えていけば、普及が急速に進む可能性も高いのではないだろうか。
(文=佐野正弘/ITライター)

ビーコンの普及進むか?球場でスマホからビールを注文…安価で導入、売り上げ最大化ものページです。ビジネスジャーナルは、IT、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!