iPhoneなどに搭載されている「iBeacon」を活用した取り組みが急速に広がっている。そうした中でもユニークなのが、球場でスマートフォン(スマホ)からビールの売り子を呼び出すという、京セラドーム大阪の取り組みだ。実際の取り組みから、iBeaconが持つ可能性と課題に迫ってみよう。
●iBeaconとは何か
最近、ニュースなどで目にする機会が増えたiBeaconという言葉。だがiBeaconとは一体なんなのか、詳しく知らない人も多いのではないだろうか。
これは、アップルがスマートデバイス向けOS 「iOS 7」より採用している機能で、電波を発する小型の“ビーコン”という機器を設置しておくと、ビーコンの近くにあるiPhoneがその電波に反応し、特定のアプリを起動したり、位置情報を取得したりできるというもの。スマホとリアルな“場所”との接点を簡単につくり上げることができる技術、ということになるだろうか。
iBeaconが注目されている大きな理由は、低消費電力で無線通信が可能な、Bluetooth Low Energy(BLE)という汎用の無線技術を用いていること。それゆえビーコン1つ当たりのコストも1000円程度と非常に安く抑えられ、小型化も簡単。しかも乾電池で数カ月~1年以上動作させられることから、メンテナンスの手間もあまりかからない。導入する際のハードルが非常に低いというのが、iBeaconの大きなメリットとなっているのだ。
そしてiBeaconの活用を最も期待されているのが、スマホやインターネットサービスを店舗のマーケティングに活用する、いわゆる“Online to Offline”(O2O)の分野である。例えば、お店の近くを訪れた人のスマホに、お得情報を直接通知するという仕組み。従来こうした仕組みを実現するには、Wi-Fiスポットを設置するなどの必要があったため、多くの手間とコストがかかっていた。だがiBeaconを用いれば、店舗内に数個のビーコンを置くだけで同様の仕組みを実現できることから、導入のハードルが大幅に低くなった。
●スマホでビールの売り子を呼び出す
iBeaconを用いたO2O分野の取り組みにはさまざまなものがあるが、中でも最近注目されるのが、プロ野球チーム、オリックス・バファローズの本拠地でもある京セラドーム大阪の事例である。