空港の手荷物受取所のターンテーブルに巨大な回転寿司が
5月後半、筆者は大分空港に到着早々、到着ロビー(手荷物受取所)で笑ってしまった。ターンテーブルの上を大きな回転寿司(エビ)の模型が流れてきたのだ。最初は「だれか合羽橋(東京の調理用品専門街)あたりで買って持ち帰ったのかなあ」と思った。
しかし、係の人に話を聞くと、実はこれ、大分の海の幸をPRするために2006年から始めた観光客向けサービスで、子供はもちろん大人たちにも人気。大分の土産話になっているという。確かにインパクト十分だ。
それだけではなかった。到着ロビーの空間全体がアートになっているのだ。豊後水道の海流をイメージした床、天井には207点もの魚拓。青い海を意識した空間になっている。佐伯市出身のデザイナーの手によるもので、09年度のグッドデザイン賞を受賞した。
空港の外に出ると「ようこそ!おんせん県おおいたへ!!」の看板が目に飛び込んでくる。空港に降り立った観光客はいやが上にも、大分の海と温泉を意識させられる仕掛けだ。
大分空港の利用者数はここ数年、着実に増え続けている。14年度の利用者数は176万9647人で、前年度から約5万人の増加(3%増)となった。国内線は主力の羽田線(1日14便)や伊丹線(7往復)が堅調だった。国際線はソウル線のみだが、3万4188人と前年度の2倍以上の大幅な伸びを記録した。
昨年9月に就航した格安航空会社(LCC)のティーウェイ航空が最大週4往復運航したことで、韓国からの利用客増をもたらした。200万人超を記録した過去最高の1997年度には及ばないが、3年連続で増加しており、回復基調にある。
関西、福岡でオンエアされ大反響を呼んだ「おんせん県CM」
大分県の観光といえば、別府、湯布院(由布院)に代表される温泉のイメージだ。県は12年に官民が一体となって源泉数(4411)、湧出量(28万5553リットル/分)がともに日本一を誇る温泉と食をPRする「大分県ツーリズム戦略」を策定した。その際、「日本一のおんせん県おおいた 味力(みりょく)も満載」というキャッチフレーズも考案。さらに「おんせん県」の商標登録を特許庁に申請したが、他県やインターネット上で批判が相次いだ。結局、特許庁からも「(おんせん県は)他県にも当てはまる」として商標登録は認められなかった。