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小笠原泰「日本は大丈夫か?」

10~30代男子、高い安倍政権支持率の“正体”…「男だから」が通用しない社会への焦り

文=小笠原泰/明治大学国際日本学部教授
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 しかし、筆者は改憲の国民投票への支持は、人々が社会的閉塞感のなかでイベント的な変化を希求していることの表れではないかと感じる。このイベント感、一過性で節操がなくても盛り上がって面白ければそれで良いという感覚に、若者の支持が高いというのは、うなずけなくもない。

 実際、日経新聞の調査によれば、安倍首相に期待する政策で「憲法改正」と答えた人は10%と7位で、1位の「社会保障の充実」の46%、2位の「景気回復」の39%とは大きな隔たりがあり、希求度はかなり低い。「やるなら、やれば」という当事者意識のない賛成とも取れよう。

希望を抱かない若者たち

 自民党支持の高さの要因として次に考えられるのは、自民党以外に選択肢がないという消極的支持である。野党の政策を見ても与党より甘言であり、日本の将来を考えて国民の痛みを伴うタフな改革を謳う政党はない。同じ甘言ならば、実績と経験のある自民党を選択するのも、うなずけなくもない。

 そもそも有権者は、野党に政策実現能力があるとは思っていない。より正確にいえば、「格差だ、格差だ」とマスコミは言うが、今の若い世代の現実的な望みは現状を維持してもらうことであり、多くを望んではない。とりあえず「私が生きていけているので、それで良い。より良くなる保証もないのに、変化を起こされて今の生活すら守られなくなるなら、今のままがよい」という、希望は抱かないということではないか。

 これは、環境の変化に適応できないという諦念ともいえ、それを保守化といえなくもないが、安倍首相の望むナショナリズム的なアイデンティティに基づく政治としての保守化とは、少し違うのではないだろうか。

 消極的選択かもしれないが、若い世代の自民党支持の高まりは現実のようである。

男性中心主義社会の崩壊

 それでは、30代以下の自民党支持を男女別でみてみよう。2018年12月21日付ウェブサイト「論座」記事『安倍支持の中心は若年男性層』によれば、2017年に発足した第4次安倍内閣への平均支持率を年代別・性別にみてみると、30代以下の男性の支持率が圧倒的に高いことがわかる。20代男性は57.4%、30代男性は52.8%である。これは、同世代の女性よりもそれぞれ約20%高い。そもそも、全世代平均は男性が44.4%、女性が33.8%で女性が約10%低いという男女差が存在しているが、それを差し引いても、30代以下での男女の支持率の違いはかなり大きい。

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