県内の温泉を舞台に、シンクロナイズドスイミングのプロチーム(五輪メダリスト・藤井来夏さん主宰)が「シンフロ」と銘打って、演技を披露する内容だ。とり天、カボス、豊後牛など大分特産品などをモチーフとした手足の動きとなっている。振り付けは世界三大広告賞を受賞した「振付稼業 air:man」が担当。大分出身の作曲家・滝廉太郎の「花」をアレンジした曲がBGMに使われている。
今回のCMの中で紹介された温泉は、筌の口温泉、別府明礬温泉、天ヶ瀬温泉など全部で11カ所。この中には砂湯や水深55センチの泥湯もあり、「よくこんな所で演技ができたなあ」と思ってしまう。このCMは県の「おんせん県おおいた」のサイトでも視聴できるため、あっという間に全国区の人気CMとなった。このCMの出来栄えについて、広瀬勝貞知事は「意外性の中に面白さがある作品になった」と会見で語っている。
反響はどうか。動画を見た人たちからは「大分すげぇ」「おんせん県おおいたのシンフロ、脱帽です」「これ見ていたら、温泉に行きたくなった」などと、驚愕や共感の声が上がっている。無料動画共有サイト「YouTube」の視聴回数は10日間で65万回を突破。国内のみならず、海外でも注目を集めそうな気配だ。県の担当者は「メディアの方々からの問い合わせが多いですね。一般の方からは『大分の温泉に入りたくなりました』といった感想が寄せられています。この先、大分=おんせん県の認知度がますます高まってくれればと思います」と期待を寄せている。
世界共通のシンクロの演技の動画で海外受けを狙う
冒頭、露天の温泉に浸かっているおじさんが、白いスイムスーツ姿の美女集団の突然の登場に唖然とするシーンには思わず笑ってしまう。おんせん県をPRする県のCM制作は今回で3年目。温泉に入る音や、から揚げを揚げる音など「大分県の音」をBGMの中につなぎ合わせるなど、これまでにない演出が施されている。その一方で、出演者の会話シーンがほとんどない。日本語がほとんど出てこないのである。
「日本語での会話シーンがほとんどないうえに、シンクロという世界共通のスポーツの演技を盛り込んだことで、海外の方にもわかりやすい動画になったと思います。YouTubeなどでこの動画をご覧になった海外の方が大分を訪れてくれることを期待しています」(前出担当者)
なるほど、そういう狙いがあったのか。確かに、誰が見ても強烈なインパクトだ。2分33秒間、最後まで引きずり込まれてしまう。10月中旬にはインターネット版、テレビ版ともに第2弾が公開される。