年間33万人の外国人宿泊客をどこまで増やせるか
大分県は源泉数(4411)、湧出量(28万5553リットル毎分)、ともに日本一を誇る。2012年に温泉と食をPRする「大分県ツーリズム戦略」を策定。「おんせん県おおいた」を商標登録し、奇抜なCM、動画で話題をさらってきた。その効果はどう数字に表れているのか。
県がまとめた観光統計でこの数年間の宿泊客総数の推移をみてみよう。
08年:約394万人(国内363万人、海外31万人)
12年:約416万人(388万人、28万人)
13年:約430万人(398万人、32万人)
14年:約433万人(400万人、33万人)
温泉CMを開始したのは13年秋。着実に宿泊客は増えているが、話題性に見合った急激な伸びはまだ見られない。
ただ、今年に入って大きな変化が表れている。1~8月までの速報値では 、国内の宿泊客は前年同月比でマイナスが5回とパッとしないが、外国人宿泊客は前年同月比27.7%増から2倍強と大幅な伸びを見せている。日本全体の外国人観光客の増加に比例した動きかもしれないが、インバウンド(訪日外国人旅行)強化を図る県としては今回のPR動画でさらなる増加につなげたいところだろう。
旅行業界に詳しいジャーナリストは、次のように分析する
「今後の観光戦略を見ていく上で、国内では関西圏、海外ではアジア以外の客がポイントになります。大分に来る観光客を地域別にみると、九州圏が断トツで、次いで関東、中国・四国となり、近畿はその下になっています。近畿の8月は前年同月比16%減とさえない状況で、関西でのCMオンエアには、近畿圏の観光客を掘り起こす狙いがあります。海外客は韓国、中国、台湾、香港で全体の95%を占め、中でも定期便がある韓国が圧倒的多数です。アジア以外はわずか2.4%(8月速報値)。アジア以外からの客をいかに呼び込むかが大きな課題になります」
「日本一の温泉で、世界のみんなを沸かせたい」という大分県。「シンフロ」動画は関西人や欧米人のハートをガッチリつかむことができるだろうか。
(文=編集部)