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『四〇〇万企業が哭いている』著者・石塚健司氏インタビュー

巨悪を撃つべき“身勝手”検察特捜部が、中小企業を潰した訳

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 そもそも日本の刑事裁判では、検察が起訴した場合、有罪になる確率が99.9パーセント。これは「検察は有罪にするのが当たり前」という世界を見回しても稀なことです。検察官が起訴した事件は有罪にしなくてはならないということになっていて、裁判所がそれに対し無罪判決を出すことは稀です。無罪判決を出すためにはどんな角度から攻められても無罪だと言えなければならない。裁判官も官僚ですから、無罪判決を出すと経歴の汚点になりかねないのです。一審で有罪であった事件を、二審で無罪にすると、その判決を下した裁判官は出世を捨てるようなものです。

ーー約20年前に特捜担当の記者だった石塚さんですが、よくマスメディアが検察発表を垂れ流していると批判されますが、実際にはどうなのでしょうか?

石塚 局面により違いはありますが、基本的にはその通りです。司法記者クラブというのがあります。記者クラブに加盟しているのは新聞社やテレビ局、通信社など約20社のマスメディアだけで、いわばマスコミにおける特権階級とも言えます。その記者クラブに加盟している記者だけが唯一検察庁に直接取材ができます。

 記者クラブの記者は、検事を追いかけ、検察の発表を聞き、記事を書きます。特に新聞社の記者は、夕刊や翌日の朝刊に間に合わせるために半日や1日単位で仕事をしているので、すべてそうではありませんが、必然的に事件についての報道内容は検察の論理に基づいたものになりがちです。しかし、検察庁が捜査をする事件のうち、かなりの数の事件は、マスコミが先行取材をし、検察庁に持ち込むパターンです。大阪地検特捜部の証拠改ざん事件以来、検察に対する記者クラブの立ち位置もだいぶ変わってきているのではないでしょうか。

ーー出版後、朝倉氏を応援する会が発足したりと反響があったと思いますが、他にはどうでしょうか?

石塚 お手紙やメールを数多く頂きます。中でも、自分も粉飾決算をしているという会社の経営者の方々の声には心をうたれます。そういう方々が、本書を読み、朝倉さんのことを思いながら涙し、その勢いで手紙やメールを送ってくれるんです。そういう手紙を受け取ると、私も本書を書いたことは間違っていなかったのかなと思います。
(構成=本多カツヒロ)

●石塚健司(いしづか・けんじ)
1961年茨城県生まれ。早稲田大学政経学部卒業後、産経新聞社入社。司法記者クラブキャップ、社会部次長などを経て、現在は多摩支局長。著書に『特捜崩壊』(講談社文庫)がある。

BusinessJournal編集部

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