「韓国の裁判所は“ウソつきの競演場”になって久しい」
これは現職の検事がメディアの取材に対して明かした言葉だ。韓国メディアのマネートゥデイによると、これは決して同検事の個人的な感想ではなく、韓国社会の実情を如実に表したものだという。
実際、誣告罪はどれほど多いのだろうか。2000~14年の間に発覚した誣告の件数は、なんと年平均約4300件。これは主要先進国の中では圧倒的に多い数字で、日本と比べると500倍以上多い計算になる。毎年裁判数が増加し、ただでさえ忙しい韓国の裁判所関係者たちは、誣告事件の多さにてんてこ舞いとなっている。
韓国で起きた誣告事件には、さまざまなケースがある。数億円の投資をパーにされ、投資会社を詐欺で起訴したバスケットボール選手、「急いでくれますか?」と急かす乗客を脅迫・暴行した後に「客に暴行された」と開き直ったタクシー運転手の事件などが有名で、いずれも誣告罪で処罰されている。
「僕の友人は以前、元カノの家に上がりジュースを飲んで帰ったそうなのですが、その翌週に女性から強姦されたと訴えられたそうです。2人の間にどんな私情があったのかは、定かではありません。ただ最終的に示談になり、数百万円支払わされたと話していました」(韓国新聞記者)
なぜ、韓国でこれほどまでに“ウソつき犯罪”が多いのだろうか。一部のメディアからは「ウソを厭わない社会風土が問題なのではないか」という分析も出ている。というのも、親しい人を守るためや善意でウソをついても、社会的に大きな批判を受けないのだそうだ。つまり、ウソも方便ということになる。韓国人にウソつきが多いというのは言いすぎかもしれないが、誣告罪の多さを見る限り、立場を守るためのウソに抵抗感がない文化が少なからずあるのかもしれない。
裁判所の時間と労力を無駄に消費させる誣告罪に対して、現在、韓国国会は厳罰化で対処するとの方針で議論を進めている。
(取材・文=河鐘基)