最近のマスメディアの報道は、沢尻エリカが合成麻薬MDMAを所持していたとして警視庁組織犯罪対策5課に逮捕されたというニュース一色だ。特に、来年のNHKの大河ドラマを出演目前にしての逮捕だったため、彼女の代役や放送開始時期、それらに伴う賠償金などの話題も相まって、異常な盛り上がりを見せている。
「それにしても、よくNHKは大河ドラマの大役に沢尻エリカを起用したなと思えるほど、ここ数年、彼女の薬物疑惑は噂になっていました。業界にいる人間なら、そうした噂は耳にしていたはず。10月には、Xデーまで囁かれていたほどだったんです。ロングランとなる大河ドラマに彼女を出演させるには、あまりにもリスクがあった。なぜ、彼女の起用にこだわったのか、解せない点もあります。うがった見方かもしれませんが、沢尻の所属事務所は、彼女を大河ドラマに出演させることによって、本人に自覚を持たせ、薬物を断たそうとした意味合いもあり、出演をNHKにゴリ押ししたんじゃないという説もあるほどです」(芸能関係者)
確かに9月下旬、厚生省麻薬取締部、通称「マトリ」が、30代の大物女優の逮捕に乗り出すという情報が流れ出した。筆者がその際に入手した情報では、ターゲットは沢尻だった。業界内では、彼女の名前があちこちで囁かれだした。だが、実際には、マトリは別の女優にガサをかけている。この女優はシロ判定が出たが、同時期に組対5課による沢尻への内偵が始まっている。推測ではあるが、そうした業界内の沢尻への疑惑の目が組対5課を突き動かした可能性は否定できない。
ただ、それはあくまで今回の逮捕までの経緯であって、沢尻自身も供述しているように、彼女の薬物使用は今に始まったことではない。7年前には、大麻使用疑惑が「週刊文春」によって報じられている。そして、その文春は、逮捕3時間前の沢尻の様子も映像で押さえていた。
「渋谷のクラブで抱き合ったりしながら、アルコールを飲む沢尻の姿を文春は押さえていた。自宅からそのクラブへと向かう姿は、TBSが撮影していた。当局と一部メディアは足並みを揃えて、沢尻の薬物疑惑に迫っていたんです」(ジャーナリスト)
この渋谷のクラブでは、その数日前に、金融トレーダーのカズマックスこと吉澤和真容疑者がMDMA所持で逮捕されたばかりだった。普通なら、数日前に薬物による逮捕劇があったクラブに、薬物使用者が出入りすることには、ためらいがあって当然のはずだ。それでも彼女は出かけてしまっている。
「正常な判断ができないほど、沢尻の薬物依存は深刻だったことが考えられますし、自分だけは逮捕されないという思い込みがあったのかもしれません。彼女の所属事務所は警察OBの天下りを抱えているため、“特別な力”で守られているという過信があったのかも。そんな考えを持っているのが彼女だけかといえば、そうではないかもしれませんよ。そもそも組対5課は、沢尻とも親交がある違う有名女性Xを薬物で摘発しようとしていたなんて噂になったこともありました。どちらにしても、今後も芸能人の薬物摘発は十分に考えられます」(週刊誌記者)
筆者は仕事柄、そういった情報に接する機会が多い。「まさか」と耳を疑う、第一線で活躍する芸能人に薬物疑惑があったりすることもある。もし、情報通り、彼らが堂々と所持や使用をしていたら、一般人ならすぐに逮捕されるだろうと感じるケースは少なくない。しかし、実際にはほとんど検挙に至らない(こうした芸能人の検挙率の低さが、「自分だけは逮捕されない」という思いを生むのかもしれない)。それは社会に与える衝撃や影響力などを考慮して、より慎重に捜査が進められるからではないだろうか。だが逆にいえば、そうした猶予は、薬物を断つチャンスでもある。薬物に手を染めている芸能人たちは、沢尻逮捕を当局からの最後の警鐘と捉えるべきだろう。
(文=沖田臥竜/作家)