公費で不倫出張の和泉首相補佐官&“問題”女性官僚、不問に付す安倍首相官邸は問題
12月9日に閉会した第200回国会は臨時国会だったので、もともと会期は短かったのですが、あっけなく終わった感があります。ちなみに、国会議員や秘書たちは閉会すると暇になるわけではありません。閉会中も仕事はたくさんありますが、時間配分を自分で決められるので、その点は楽ですね。
閉会しても、“解散風”はまだそよそよと吹いている感じです。いつもならこの時期は来年度の予算編成でドタバタし、クリスマスまでにその作業が終わるかどうか……というのが与党議員秘書の日常なのですが、今年は大規模な補正予算が予定されているため、「まずはその補正予算案を年明けの通常国会冒頭で通してから」という話になっています。
そうすると、来年度の予算案が2月末に衆議院、3月末に参議院という通常の時期に可決されなかったとしても、多少の猶予があることになります。3月末に可決したとしても、予算が執行されるのが4月末や5月にずれこむのはよくあることなので、「1月末に解散・2月に総選挙」ということになっても、新年度の予算にはさほど影響が出ないだろうという見方があるからです。
正直、与党議員で総選挙の準備をしている議員事務所の話は聞こえてきません。ただ、野党議員で次期選挙での当選の見込みが低い事務所のなかには「大掃除」と称して、議員事務所の退出の準備をしようとしているところもあるようです。
総選挙のことを考えると精神的に不安定になる国会議員も多いので、その分秘書の気苦労も増える時期ではあります。
首相補佐官の不倫疑惑が失笑の的に
師走に入って、また“文春砲”がやってくれましたね。「週刊文春」(12月19日号/文藝春秋)で、和泉洋人首相補佐官と厚生労働省大臣官房審議官の大坪寛子氏の不倫疑惑が報道されたのです。
永田町では、発売前に「安倍内閣に文春砲が炸裂!」ということで騒然となりましたが、実際に記事を見ると、かき氷を「アーン」とやっていたりして、「え、何これ。ただの気持ち悪いおじさんとおばさんじゃん」という声ばかりで、それ以上の広がりはありませんでした。
ただ、大坪審議官の傍若無人ぶりは少し前から話題になっていたのは確かです。今回も「公費で京都デート」ということですしね。また、記事によると2人はノーベル賞受賞者でiPS細胞研究の権威である京都大学の山中伸弥教授の研究所を訪問し、年間約10億円の支援の打ち切りについて、大坪審議官が「わたしの一存でどうにでもなる」などと恫喝したとされています。この支援打ち切りの報道が唐突に流れたとき、文部科学省内では「そんなこと聞いていないし、なんで厚労省の役人が山中教授のところへ行ったんだ?」と話題になっていました。
和泉補佐官は既婚者とされていますが、2人の仲は周囲では以前から公然の秘密で、「ろくに恋愛を経験したことのない和泉補佐官が大坪審議官に恋しちゃった。とほほ……」と見られていたのだとか。ただ、文春は2カ月にわたって2人をマークしていたようですが、ホテルに入っていくなどの決定的な不倫の証拠写真は撮れなかったようです。
これを受けて、大坪審議官は降格、和泉補佐官も左遷という人事が下ればいいのですが、菅義偉官房長官は早々に「適切に対応したと聞いている」と不問に付す姿勢を見せましたね。おそらく、このままうやむやになるでしょう。安倍政権は、こういうところは本当にルーズだと思います。あまり国民感情を甘く見ないほうがいいと思いますけどね。
元農水相が金銭トラブルで銃撃
さて、次の総選挙はどうなるのでしょう。今回の不倫問題や「桜を見る会」への対応のまずさもあってか、与党の支持率は下がり続けていますよね。NHKから国民を守る党の人気(こちらも一時ほどではないですが)も、こうした与党への不信感や「つまらない番組ばかりのNHKにお金を払いたくない」という庶民の気持ちの表れだと思います。
とはいえ、総選挙を行うメリットは今も自民党にしかないと思います。野党はまだ選挙協力の調整も済んでいないので、総選挙になれば混乱が増すだけで勝算はないでしょう。公明党は、いつ選挙を行っても議員数は横ばいだと思います。安倍政権も支持率が多少下がってはいるものの、大敗することは絶対にないし、逆に野党がこのままのイメージで総選挙に突入となれば、前回の総選挙では同情と新鮮さで当選した立憲民主党の新人たちが軒並み落選するでしょうから、自民党の議席が微増するかもしれません。
また、「隙間産業」といっては表現が悪いですが、日本維新の会が躍進する可能性はありますね。本場の大阪では今も勢いがあります。参議院議員選挙では東京都、神奈川選挙区でも議員が誕生しましたから、東京、南関東で議席を獲得しそうです。
鈴木宗男参議院議員が維新に入ったことで北海道ブロックでも議席を獲れるかもしれませんし、東海ブロックでは河村たかし名古屋市長が鞍替えする可能性が噂されていますから、そうなれば現在の1議席から2議席に増加することもあり得ます。さらに、れいわ新選組もあなどれません。山本太郎代表が全国行脚して着順に認知度を上げていますしね。
ただ、最近の永田町では、総選挙よりも農林水産大臣や防衛庁長官を歴任された玉沢徳一郎元衆議院議員が銃撃されたニュースのほうが話題になりました。金銭トラブルが原因で友人から銃撃されたという事件ですが、命に別状はないようです。玉沢先生が借りた金を返していないことが発端なので、撃たれても警察に通報していなかったそうです。よほど世間にバレたくなかったのでしょうか。
いつもふんどしを愛用していることから永田町では「ふんどし先生」のイメージが強い玉沢先生は、議員時代は国会内の健康センターでよく卓球をされていて、トレーニングウェアに着替えるときに堂々とふんどし姿を披露されていたそうです。豪快な国会議員でしたが、選挙資金として借りた1000万円を返してないという話が本当であれば、感覚が世間ずれしていると言われても仕方ないでしょう。
先生、今度はちゃんと借金は返済してくださいね!
(文=神澤志万/国会議員秘書)
『国会女子の忖度日記:議員秘書は、今日もイバラの道をゆく』 あの自民党女性議員の「このハゲーーッ!!」どころじゃない。ブラック企業も驚く労働環境にいる国会議員秘書の叫びを聞いて下さい。議員の傲慢、セクハラ、後援者の仰天陳情、議員のスキャンダル潰し、命懸けの選挙の裏、お局秘書のイジメ……知られざる仕事内容から苦境の数々まで20年以上永田町で働く現役女性政策秘書が書きました。人間関係の厳戒地帯で生き抜いてきた処世術は一般にも使えるはず。全編4コマまんが付き、辛さがよくわかります。