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六代目山口組を銃撃した山健組・中田組長が完全黙秘の中で起訴……当局は有罪の自信あり?

文=沖田臥竜/作家
六代目山口組を銃撃した山健組・中田組長が完全黙秘の中で起訴……当局は有罪の自信あり?の画像1
竹中組本部に家宅捜索に入る兵庫県警

 業界関係者の間に衝撃が走ったのは、12月3日のこと。

「8月に神戸市内で起きた弘道会傘下組員に対する銃撃事件で、中田浩司組長(神戸山口組五代目山健組組長)に逮捕状が出されたようだ」という情報が錯綜したのだ。実際、この事件を受けて、中田組長に逮捕状が出るのではないかという噂は数日前から確かにあった。

 だが、誰しもがそれを鵜呑みにできない理由があった。実行犯が逮捕されていない段階で、先に中田組長が逮捕されることはないと考えられていたからだ。中田組長が事件に関与した可能性はあるかもしれないが、あくまでそれは指示役として、つまり教唆したという疑いがあるだけで、まさか実行犯の疑いがかけられているとは、誰も考えていなかったのだ。

 それはそうだろう。山健組といえば、今なお巨大勢力である。その組織の長自らが、拳銃を握り、対立する六代目山口組系傘下組員に発砲するなどとは、誰が想像することができただろうか。

 12月3日、筆者は「中田組長がまもなく逮捕されるのではないか」という情報を耳にて、関係者に取材をしていた。そして、中田組長は同日午後10時半頃に逮捕されるのだが、そこから1時間も経過しない時点で、銃撃の実行犯という容疑で逮捕されたと知ることになったのだった。

 逮捕の決め手になったのは、防犯カメラの映像によるものとされていたが、ある筋からは、それ以外にも起訴事実を固めるだけの証拠を捜査関係者らは握っているようだという話を聞いていた。それは、中田組長逮捕から6日後となる9日、中田組長の逃走用のバイクを用意したとして殺人未遂容疑で逮捕された4人の容疑者の証言などを指すのかと思われていたのだが、そうではないというのである。

「中田組長は、ここまで完全黙秘を貫いていますが、当局幹部らは早い段階で、中田組長の公判を維持できると踏んでいたと見られています。神戸市内の発砲事件の捜査では、犯行に使用されたバイクがすぐに発見され、そこから実行犯の指紋が検出されたなどのさまざまな情報が飛びかっていたのですが、すぐにそうした噂すら立たなくなっていったんです。ある時期から、秘密裏に捜査が進められ、中田組長逮捕につながったと考えられます。そして逮捕後、防犯カメラの映像などよりも固い証拠を当局側は握っているようだと囁かれ始めることになるんです。ただし、その証拠がなんなのかという情報は、当局サイドからはいまだにまったく漏れてきません」(報道関係者)

 そして、勾留期限いっぱいとなった25日、中田組長は容疑を認めることのない状況のなかで、殺人未遂の実行犯として起訴されたのであった。

「その前日の24日、神戸山口組では、幹部会を開催したのではないかという情報がある。タイミングから見ても、中田組長が起訴された場合の対応策などが議題としてあったのではないか。裁判の行方はまだわからないが、当面は中田組長の社会不在が続くことになるだろう。分裂抗争が加熱する中での中田組長の社会不在は、山健組だけではなく神戸山口組全体としても大きな痛手といえるだろう」(業界関係者)

任侠山口組の若頭が出所

 また、同じく24日には、捜査当局が動きを見せている。先月、兵庫県尼崎市内で神戸山口組・古川恵一幹部を射殺した朝比奈久徳被告の関係先として、六代目山口組の二次団体、二代目竹中組に兵庫県警が家宅捜査に入ったのだ。

 「23日から、竹中組本部事務所の警戒にあたる捜査員の数がいつもより多くなっていたので、まもなく家宅捜索に入るのではないかといわれていました。古川幹部を射殺した朝比奈被告は、破門されていたとはいえ、二代目竹中組の出身ですので、関係先として竹中組にガサが入ることは予想されており、竹中組側も想定していたでしょう。混乱も起きることなく終了しています」(地元記者)

 一方で、任侠山口組にも動きがあった。大阪刑務所に服役中であった同組若頭である四代目真鍋組の池田幸治組長が、23日に出所を果たしたのである。

「任侠山口組は現在、沈黙を守り続けており、特に出所祝いを行ったなどとは聞こえてきていない。だが、池田組長の出所は任侠山口組にとって、今後、組織が一枚岩になって行動していくには大きな朗報といえるだろう」(業界関係者)

 ついに六代目山口組と神戸山口組は、特定抗争指定暴力団の対象になることが決まった。年明けに公示されると、取り締まりが一気に強化される。それまでに、まだ何か動きがあるのだろうか。予断を許さない情勢が続いている。

(文=沖田臥竜/作家)

沖田臥竜/作家

沖田臥竜/作家

作家。2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、小説やノンフィクションなど多数の作品を発表。小説『ムショぼけ』(小学館)や小説『インフォーマ』(サイゾー文芸部)はドラマ化もされ話題に。最新刊は『インフォーマ2 ヒット・アンド・アウェイ』(同)。調査やコンサルティングを行う企業の経営者の顔を持つ。

Twitter:@pinlkiai

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