20日から始まった通常国会。安倍晋三首相の施政方針演説は、今夏行われる東京五輪・パラリンピックに関連するエピソードが盛り込まれた。
「半世紀ぶりに、あの感動が再び、我が国にやってきます」
「国民一丸となって、新しい時代へと、みなさん共に踏み出していこうではありませんか」
一方で、今世間を騒がしている「IR汚職」や「桜を見る会」の問題についてはまったく触れず、翌日の一部新聞は、都合の悪いことを隠す隠れ蓑に五輪を使ったとして批判した。
「安倍首相の東京五輪に対する意欲には並々ならぬものがあります。東京開催が決まった2013年9月のIOC(国際オリンピック委員会)総会のために、安倍首相はわざわざアルゼンチンのブエノスアイレスまで行った。だから、自らが勝ち取った五輪だという気持ちがものすごく強いのです」(自民党関係者)
通常国会の冒頭解散は消えたものの、来年度予算成立後の4月解散や、7月5日投開票の東京都知事選とのダブル衆院選の可能性もいまだに燻るが、この自民党関係者は「安倍首相は東京五輪に賭けている。五輪の障害になるような解散などやるわけがない」と一笑に付す。
そんななか、安倍首相が自分で解散をしないで、五輪・パラリンピック閉幕後に退陣するという説が流れている。「五輪成功」を花道にした退陣だ。
確かに、現状では安倍首相が悲願とする憲法改正の実現は絶望的。国会の憲法審査会での議論はまったく進んでおらず、衆参3分の2の議員の賛成による発議に持ち込むことさえ、まったく見通しが立たない。一強政権を背景に今国会で強力に推し進め、仮に発議できたとしても、次は国民投票という壁が立ちはだかる。
結局、憲法改正をレガシーにしたい安倍首相だが、それが無理だとなると、今年8月24日に迎える連続在任期間歴代最長(すでに通算在任期間では最長)という記録だけがレガシーとなってしまう。
「ただ長くやっただけの首相――。安倍首相はさすがにその称号は嫌みたいです」(自民党関係者)
日本で米朝首脳会談か
そこで、今、首相官邸周辺で練られている「五輪をレガシー」にするための仰天プランがあるという。
「五輪の開会式に北朝鮮の金正恩委員長を招待するというものです。安倍首相は『拉致問題で直接、金委員長と向き合う』と繰り返し言っていますが、北朝鮮は『拉致問題は解決済み』というスタンスですから、拉致問題をテーマに会うのは難しい。しかし、五輪なら北朝鮮の選手も参加するので、政治の話と切り離して、純粋にスポーツの祭典という位置付けで来てもらう、というかたちが取れる。内閣情報官時代から北朝鮮とのパイプ役となってきた北村滋国家安全保障局長が、金委員長の五輪招待実現に向け動いているようです」(別の自民党関係者)
東京五輪開会式には米国のトランプ大統領も来る。五輪外交で金委員長の来日と日本での米朝首脳会談が実現すれば、安倍首相の手柄としてレガシーになるという読みのようだが、果たして実現されるのだろうか。
(文=編集部)