今、消費再増税が予定通り2017年4月に行われるかどうか議論になっている。この問題を長く見てきた筆者から見れば、かなり馬鹿馬鹿しい話だ。結論をいえば、消費増税を主張した「増税勢力=財務省」、その走狗の学者、マスコミがこれまでついてきた嘘を見れば、これで消費増税になるはずない。
もし、これまでの過去の経緯を無視して消費増税になれば、増税推進者はよほどぼんくらである。そんな増税推進者は早くいなくなったほうがいい。
そもそも、今回の消費増税論議は5年前の東日本大震災にさかのぼる。大震災直後、当時の菅直人首相(民主党)は、当時野党だった自民党の谷垣禎一総裁と組んで復興増税を企んでいた。
この話が不謹慎なのは、本来であれば救命作業に没頭すべきであり、復興など議論すべきでない。さらに、これは経済学を学んだ人であればすぐ間違いとわかる政策だ。課税の平準化理論があり、たとえば100年の1度の災害であれば、100年債を発行して毎年100分の一ずつ負担するのが正しい政策である。
どこの国でも大震災時に増税で財源を賄うなど、あり得ない話だ。国民は災害で大変な目に遭っているのに、増税では2度も苦しい目に遭わなければならないからだ。
本来であれば、経済学者が災害時の増税を止めさせるために立ち上がるべきだが、日本の経済学者はまったく情けない。そのとき、経済セオリーを主張する者はほとんどおらず、逆にセオリー無視の復興増税を推進した人たちのリストがある。
もちろん、この裏に財務省がいた。マスコミもその尻馬に乗った。そうして復興増税が成立した。財務省にとって、復興増税はホップでしかない。次のステップである消費増税への第一歩だった。
菅政権の後を継いだ野田政権で、ステップは行われた。財務省の完全コントロール下にあった当時の野田首相は、政権交代前には「マニフェストに書かれていないことはやらない。増税の前にシロアリ退治が必要」といいながら、マニフェストに書かれていない消費増税を強行した。シロアリ退治もやらずにだ。
財務省にとって野田首相はありがたい存在だった。だから、野田首相の悪口はあまりマスコミに出ていなかった。本来であれば、総選挙をして消費増税を問うべきであったが、その民主主義プロセスをすっ飛ばして消費増税法案を通したのだから、財務省にとってこれ以上の首相はいない。ただし、総選挙もやらずに、マニフェストに書かれていない消費増税をやられた国民はたまったものではない。案の定、民主党政権は信用できないとなって、政権交代になった。