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椎名民生「不動産ビジネス最前線」

5千万円の驚愕の欠陥住宅!傾きで動悸、家中に水たまりカビだらけ、一晩中騒音

文=椎名民生

「冬は台所の足元がひどく冷たく、ストーブが欠かせない。地下の浴室でヒートショックを起こすほど寒い、人間が生活できるような家ではない」と言うのは、プロ野球解説者の大島康徳氏だ。

 大島氏といえば、現役時代は中日ドラゴンズ、日本ハムファイターズ(現北海道日本ハムファイターズ)で活躍し、現在はNHKのプロ野球解説を務めている。1983年にホームラン王のタイトルを獲得、現役通算2204安打を記録した、40~50代の元野球少年にとってはプロ野球史に残るまぶしいスター選手のひとりだ。

 大島氏が1993年に建てた注文住宅が欠陥住宅問題の渦中にあると聞き、東京・杉並区のご自宅に伺った。この自宅は、そもそも夫人の実家の近くだったという。

「大島は現役時代、年間半分以上家にいなかった。子どもは2歳と4歳で実家に世話になることも多かったので、家を建てるならば実家の近くがいいと考えて土地を探した結果、親戚と先代の社長が知り合いだった地場のハウスメーカーHに建築を頼んだのです」(大島氏夫人)

 90年8月に通算2000本安打を達成した大島氏は、93年当時も40歳を過ぎたものの現役で活躍していた時期だ。親戚と共にHの先代社長に面談し「安心して任せてください」と担当する「右腕」建築部長を紹介され、建築がスタートした。

「要望としては、私が東京に出てきたときに地震が多いと感じたので、『地震に強い家』をつくってほしいということ。台所の食器棚は壁面収納で、安全性第一。職業柄、防音、断熱は欠かせないなどというお願いをしました」(大島氏)

 32坪の土地の上に、半地下もある地上3階建てで、価格は5000万円超。引渡しが済み、引越しした大島氏は翌94年に引退し、95年からはプロ野球解説者として駆け回っている。その後、2000年から02年まで本拠地が東京ドームだった頃の日本ハムファイターズの監督も務めた。

「プロ野球解説の仕事も順調で、当時は頭の中は野球のことばかりで、『欠陥ではないか』という妻の声をさほど重大だとは思いませんでした。住宅ローンを組んだ人はみんなそうだと思いますが、数千万円のローンもあったため、当時は返済するのに必死でしたしね」(大島氏)

 だが家を守る夫人は、家の不具合に気づき始めていた。

「それまではあまり病院にかかっていなかったのに、この家に住み始めるとめまい、頭痛、動悸と体調が悪くなったのです。今になってみれば、部屋が若干傾いていることが原因だと思います。断熱をしていないので夏は暑い、冬は寒い、すきま風がすごいという有様で、風の強い日は風圧を感じるほど窓がしなり、和室の障子が一晩中バサバサと音を立て、引き戸はガタガタと揺れます。屋根はペラペラなので雨が降れば雨音でテレビの音も聞こえなくなるほどです」(夫人)

 地震に強い家のはずが、洗濯機を回せば家全体が揺れる。さらにカビに悩まされている。

「エアコンの排水管をコンクリートの壁に埋めているが、壁の内部で水がたまり、あるときエアコンから水があふれだしてきたのです。排水工事で対応しましたが、壁の中に残っていた水分が地下の壁全体を腐らせ、そこからカビが発生しました。玄関の天井も雨漏りでカビだらけになりました。浴室の天井パネルに水がたまって、一気に降ってきたこともあります」(夫人)

無責任すぎるハウスメーカー

 驚愕するような欠陥の数々については、『別冊宝島 危ない不動産』(宝島社)に詳細な記述があるのでご参照いただきたい。だが、その欠陥以上に驚くべきは建築したHの対応だ。

 Hに大島氏が欠陥を指摘すると、クレイマー扱いされたという。

 02年、大島氏が監督を退任し、家にいる時間が多くなり家の不具合にも正面から向き合うようになった。

「毎日家にいるようになると、不具合だらけだと気がつくようになりました。台所、トイレの排水に傾斜がなく、よく詰まりました。なぜこんなに詰まるのかと、ことあるごとにHに連絡するのですが、こちらが費用負担する工事には積極的に動くが、欠陥が原因のH負担の修理となると対応が悪くなるのです。もっともひどかったのは、雨漏りを指摘した時に『応急処置だ』と言ってその部分にティッシュを詰めて、1年半もほったらかしにされました。こうした不誠実な対応が重なったため、何度も催促せざるを得なかったのですが、それでクレイマー扱いされていました」(大島氏)

 そして11年3月、東日本大震災が発生する。幸いにして夫妻は家にいなかったが、家は激しいひび割れが目立っていた。

「急いで帰宅すると、家の中にいた犬が外に飛び出してきました。その後の余震でも身の危険を感じるほど、ものすごく恐いです。その夏にテレビで日本建築検査研究所の岩山健一さんを知り、連絡を取りました」(夫人)

 専門家の調査によると、16カ所もの大きな欠陥が見つかったという。
(文=椎名民生)

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