「高輪ゲートウェイ駅」が2020年3月14日に開業し、大きな話題となった。品川~田町駅間に位置し、山手線では49年ぶりとなる新駅だ。無人コンビニエンスストアやAIを使った駅案内を設置するなど、最先端の技術を駆使した駅としても、ニュースなどで取り上げられている。
「高輪ゲートウェイ」という駅名にも世間からさまざまな意見が飛び交い、注目を浴びたが、一般的に駅名とはどのようにつけられるのだろうか?
知れば知るほどおもしろい 奥深い駅名の世界
『駅名学入門』(今尾恵介著、中央公論新社刊)は、である今尾恵介氏が「駅名」について、そのなりたちやつけかたを徹底分析していく。駅の命名メカニズムを通して、社会構造の変化や地名との関係、公共財としての意義や今後のあり方についても話が及ぶ一冊だ。
本書によると、駅名に採用されるのは、地名、神社仏閣、市役所や学校などの公共施設に「前」をつけたもの。東西南北や「中」「新」がついたものが多い。生活圏内の駅名を思い起こしてみると、うなずけるはずだ。
たとえば、「東京駅」など、地名が採用されている駅名は多い。この地名は、「都道府県-郡・市・特別区-町村・行政区-自治体の町(丁目』または大字(小字)」という広域から狭い地名までの階層構造となっている。
これは日本だけでなく、世界共通。欧米では「アトランティック通り-ボストン市-マサチューセッツ州-アメリカ合衆国(ボストン南駅の住所)」という階層になっている。
東京駅は「東京都-千代田区-丸の内一丁目」の住所の階層のなかでトップとなる東京が採用されている。一方、北隣の神田駅は同じ東京都千代田区にあるが、広域地名の「神田」が採用されている。これは1919年の開業時には東京市神田区鍛冶町だったので、区名をつけたことになる。また、路面電車の停留場になると、都電荒川線の東池袋四丁目停留場というように、「丁目」が加わることも珍しくない。
一つひとつ駅名を検証していくと、開業時、その駅名に改められた当時の地名の状況など、駅によって採用される地名の階層もそれぞれ異なるのがわかる。
駅名の由来などを掘り起こしていくと、その奥の深さに気づくはずだ。普段使っている最寄り駅がなぜ、その駅名になったのか調べてみるのも面白いだろう。高輪ゲートウェイ駅で注目されている駅名について、本書から新しい発見や面白さを見つけられるはずだ。
(T.N/新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。