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バカは死ぬ
このような状況で戦争に向かっていくと、何が起こるだろうか。そう考えると非常に嫌な恐ろしい真理に突き当たる。それは、「バカは死ぬ」ということだ。「バカは死ね」「バカは死ぬべき」と主張しているのではない。事実として、バカは死ぬのだ。
トルストイの歴史小説『戦争と平和』には、16~17歳の少年と青年の間にあるペーチャという人物が登場する。ナポレオン率いるフランス軍が攻めてきて、彼は非常な愛国心に燃える。いち早く戦場に行きたい、勇敢に戦ってナポレオンを追い返したいと考え、家族も応援する。そして彼は戦場に行き、まっさきに馬に乗って突撃してあっけなく死ぬ。
そのときのペーチャの描き方が、残酷であると同時にトルストイのすごさが浮き立つ。真実を書くとはこういうことなのだ。トルストイ自身も軍人だったので、戦場をよく知っていたのだ。
バカはあっという間に死ぬということを彼はよく知っていた。まだ若いペーチャの死は痛ましい。しかし、読者がペーチャに感情移入できないような描き方をしている。バカは死ぬという残酷な真実を、トルストイは我々の目の前に突きつけているのだ。その事実は動かせない。
しかし、そのときに「隣人はバカだから死んでいい」などと私たちは思ってはならない。
日々のコミュニケーションを通じて、死なずに済む人たちの輪をどのようにつなげていけるのか。平和運動・反戦運動にはこれが求められているということを問題提起したい。
(文=林克明/ジャーナリスト)
※この短期連載記事は、シンポジウム「戦争と学生 – 経済徴兵制をぶっ潰せ! -」を取材した筆者の責任で書いています。第2回は「経済的徴兵制」について語ったジャーナリストの布施祐仁氏の講演内容をお知らせします。
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