TPP(環太平洋経済連携協定)は2月4日に12カ国で協定署名が行われ、各国は議会での承認手続きに入っている。TPPは基本的に2年以内に12カ国の承認手続きが済んだ段階で発効することになるが、さらに協定上特別の規定があり、各国のGDP総合計が85%以上になった段階で発効するとされている。全体に占める米国のGDP比率は60.4%、日本は同17.7%となっており、日米どちらかの国で承認されなければ、TPPは発効しないことになる。
米国では、共和党多数派の議会構成と民主党もTPP反対の議員が多い状態のなかで、TPPの審議はまったく行われておらず、大統領選挙後まで審議はできない見通しとなっている。さらに、大統領候補と目されている共和党のトランプ氏、民主党のクリントン氏は両氏ともTPPに反対の立場を表明しており、成立のメドは立っていない。
各国の批准状況
では、米国以外のTPP参加国の批准状況がどうなっているのか、4月11日に提出された外務省文書「TPP協定の締結に際し想定される各国の国内手続」でみてみよう。
TPPの国内手続きとして必要なものは、TPP協定の承認と国内担保法の成立が求められる。どちらかが欠けても国内手続が終了したとみなされない。
・豪州
協定本体の議会承認は不要だが、国内担保法は議会による可決が必要であるが、同法の議会提出は6月下旬以降。今夏に総選挙が実施される可能性がある。
・カナダ
協定本体の議会承認は不要だが、国内担保法は議会による可決が必要。議会提出の見通しは不明。
・チリ
協定本体の議会承認が必要。国内担保法は議会による可決が必要だが、議会提出の見通しは不明。
・マレーシア
協定本体は、特別に招集された議会で承認。国内担保法は議会による可決が必要だが、議会提出の見通しは不明。
・メキシコ
協定本体は議会の承認が必要。9月以降の議会で提出し、今年中に採決する見込みとの発言あり。国内担保法は議会による可決が必要であるが、9月以降の議会で提出し、今年中に採決する見込みとの発言あり。