総務省が2015年度の「ふるさと納税」の状況を公表した。それによると、4月30日現在の全国の地方団体1788団体(都道府県47団体、市区町村1741団体)でのふるさと納税の実績は、件数で726万件、金額で1653億円となり、件数では前年度の約3.8倍、金額では約4.3倍と人気の高さを示した。
ふるさと納税は08年度には81.4億円・約5.4万件だったが、その後、各メディアが返礼品などの特集を組んだことなどから、徐々に人気を集めた。特に13年度から人気に火が付き、13年度は145.6億円・42.7万件に増加、14年度には388.5億円・191.3万件と倍増した。そして15年度には納税額が1500億円を突破するほど爆発的な人気となった。
では、人気の都道府県別と地方団体別に見てみよう。
都道府県別では、北海道の人気が断然トップ。15年度に100億円以上の税金を集めたのは、北海道、山形県、宮崎県、長野県の4件のみで、この4道県は14年度もベスト5入りしている。1位の北海道は150億円を超える税金を集めている。一方、地方団体のベスト10(納税額順)は以下の通り。意外にも、都道府県でトップの北海道からは地方団体でのベスト10入りがない。
さて、地方団体で納税額1位の宮崎県都城市は42億円超の税金を集めている。同市の予算規模は約800億円なので、ふるさと納税だけで予算規模の約5%を集めたことになる。鹿児島県大崎町に至っては、予算規模が約80億円なので、ふるさと納税で集めた税金の比率は33%を超える。驚くべきは、佐賀県上峰町。15年度の予算額は約37億円だったが、ふるさと納税が約21億円も入ったので、16年度予算は約81億円になった。ちなみに14年度に計上されたふるさと納税額は約40万円だった。
こうなると、もはや「ふるさと納税」は寄付金ではなく、産業政策に等しい。ふるさと納税によって得られる税額で、翌年度の予算が大きく変わり、地域住民に対する行政サービスのありようまで変わってきてしまうのだ。
※都道府県名、14年度の納税受入額(単位:百万円)と受入件数、15年度の同
・北海道、4,338 248,679、15,036 880,689
・山形県、2,872 208,818、13,908 735,418
・宮崎県、2,304 138,263、10,328 618,262
・長野県、2,090 102,895、10,456 318,889
※地方団体名、15年度の同
・宮崎県都城市、4,231 288,338
・静岡県焼津市、3,826 138,903
・山形県天童市、3,228 181,295
・鹿児島県大崎町、2,720 63,731
・岡山県備前市、2,716 33,746
・長崎県佐世保市、2,648 115,534
・長崎県平戸市、2,600 46,736
・長野県伊那市、2,583 30,406
・佐賀県上峰町、2,130 95,763
・島根県浜田市、2,094 106,266